
現代アートも楽しめる、ここはまさに“日本庭園ミュージアム”…藤森照信建築《松堂》と、中根庭園研究所・中根史郎作庭の池泉回遊式庭園“賞心庭”。
神勝寺 禅と庭のミュージアム“賞心庭”について
「天心山 神勝寺」(しんしょうじ)は広島県福山市にある臨済宗建仁寺派の禅寺。その境内に2016年に開園したのが『神勝寺 禅と庭のミュージアム』。『足立美術館』の庭園の作者としても知られる現代の造園家・中根金作とその息子・中根史郎が手掛けた日本庭園や、建築史家・藤森照信による建築作品『松堂』、現代芸術家・名和晃平率いるSANDWICHのアート・パビリオン『洸庭』や京都の茶室研究の大家・中村昌生による茶室『秀路軒』等が見られます。
何度も訪れていますが、2025年に開催された『ひろしま国際建築祭』の展示を目的に久々に訪れたので秋の様子を紹介。冒頭の一文の通り、広大な境内に複数の庭園と建築作品と見所が沢山!それぞれページを分けて紹介します。このページでは入園して最初に関する日本庭園『賞心庭』について。
>> 名和晃平・SANDWICHのアートパビリオン『洸庭』と庭園
寺院としての歴史はとても新しく、創建は1965年(昭和40年)。福山市にある造船メーカー大手・常石造船で社長をつとめた実業家・神原秀夫が京都『建仁寺』から臨済宗建仁寺派七代管長・竹田益州老大師を開山に招き建立されました(開基は神原秀夫さん)。その寺号は氏の父親で常石造船/ツネイシホールディングスの創業者にあたる神原勝太郎さんの名にちなんだもの。神原家のルーツは菅原道真の末裔とも言われるそうで、江戸時代から“潮待ちの港”としても栄えた福山の海沿いで海運業などを営んでいました。ちなみにこの一帯には常石グループの経営するレジャー施設『みろくの里』や温泉、サッカー場(ツネイシフィールド)も。
かつて『京都御所』(御苑)内にあった皇族『旧賀陽宮邸』の門が移築された総門から入寺すると――高台部に見える多宝塔は伝統的な寺院建築ですが、その手前には変わった(特徴的な)トンガリ屋根の建築が視界に。
受付やミュージアムショップとして利用もされている『神勝寺 寺務所“松堂”』、設計は建築史家&ユニークな建築で知られる藤森照信さん。個人的に、初めて神勝寺を訪れたのは『禅と庭のミュージアム』のオープンする以前の2014年、この建物を見る為でした。
そのオープン前に訪れた時にまさに造園の真っ最中だったのが、現在『禅と庭のミュージアム』の入口・中心に位置する「賞心庭」。中根金作が設立し、現在は息子の中根史郎さんが営む中根庭園研究所の作庭。
仏教の神仙思想が表現された庭園。縦長ながら「心」の字を表した“心字池”の中には、総門から近い所には宝船を表現した舟石、奥に向かうにつれ不老不死の仙人の住む神仙島(蓬莱島・瀛州島・方丈島)に見立てた島が浮かびます。そして、その池に水を流し込む大滝が“龍華の滝”。その向こうに先述の多宝塔がそびえます。池泉の周囲にはモミジが多く植栽され、新緑の季節や秋の紅葉の時期は特に美しい…。夏にはハスの花も。
池のほとりに点在するお堂もそれぞれ由緒あるもの。まず茅葺の「含空院」。茶房として利用されているこのお堂は滋賀の古刹『永源寺』から移築された江戸時代初期の建築(永源寺にも現在は新たな「含空院」があります)。
そして山沿いの一段高いところにあるのが、開基・神原氏の念持仏だった阿弥陀如来立像が安置されている「非佛堂」。設計は京都の茶室/数寄屋建築の第一人者・中村昌生。数多くの茶室を残されている中村昌生さんですがお寺のお堂は珍しい?
池に架かる龍背橋の正面にあるのが通常非公開の国際禅道場…2025年のひろしま国際建築祭ではこちらの空間も作品展示の為に特別公開されました。尚、国際禅道場の更にその奥にある開基堂「天勝院」にも枯山水庭園があるそう(こちらは建築祭でも非公開)。
神勝寺 禅と庭のミュージアムはこれでもまだ一部分。庭園は下記に続きます。
>> 名和晃平・SANDWICHのアートパビリオン『洸庭』と庭園
(2014年8月、2017年12月、2021年4月、2025年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR山陽新幹線 福山駅より路線バス「神勝寺」バス停下車すぐ/または「山南農協前」バス停より徒歩20分
JR山陽本線 松永駅から路線バス「みろくの里入口」バス停下車 徒歩15分
〒720-0401 広島県福山市沼隈町上山南91 MAP
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