奈良時代に行基が開き、国重文の仏像も所蔵する古刹に残る苔の美しい枯山水庭園。岐阜市指定名勝。
真長寺の石庭について
「三輪山真長寺」(しんちょうじ)は奈良時代に行基により創建されたと伝わる寺院。平安時代の作と推定されている御本尊の木造釈迦如来坐像は国指定重要文化財で、最寄のバス停の名の通り通称“三輪釈迦”と呼ばれているそう。一面の苔が美しい枯山水庭園は“真長寺の石庭”として岐阜市指定名勝です。
2019年の夏に岐阜県内の庭園を巡りました!一番の目的は先に紹介した郡上八幡の庭園だったのですが、それ以外にも岐阜市〜主に長良川鉄道方面へ向かう道で気になっていた場所をいくつか。
最近では“旅の最中に通りそうな自治体”があれば市町村の指定名勝・文化財とかも自治体のサイトで調べるようにしてるんですが、この真長寺の石庭は――たしか今年の春に岐阜県をGoogle Earthで見ていて――とかそんなんだった記憶が。航空写真でもその石の配置が気になる感じではあって…。その上で市の名勝なら間違いないやつ。
そして岐阜市と言っても市の中心部からはかなり離れていて、JR岐阜駅・名鉄岐阜駅からは約15km。昔は“三輪村”という別の自治体で昭和の頃に岐阜市に吸収。かつては現・美濃市への街道の要所でもあったようでそれっぽい門を持つお宅が軒を連ねていたり、真長寺以外にも三輪神社や後日紹介する『大智寺』などその他にも寺社仏閣が見られます。
この枯山水庭園は江戸時代初めの作庭とされます。まずグッと来るのは飛び石の時点から始まる一面の苔。昔からこういう姿だったかは不明ですが、隣の自治体・愛知県一宮市の『旧林氏庭園』も苔が美しい庭園だったしこの辺って猛暑のイメージある割に意外と苔が根付くのかなあ?と思って(と言っても少し茶色くはなっていたので、秋になるにつれてもっときれいになるんだろう)。
この飛び石はあるところを境に川石から山石に変わっていて、それは現世からあの世に身を移すことが表現されているそう。
引き合いに出されている『龍安寺』のイメージから考えると、こういう庭園はやはり建物(客殿)の軒から眺めるのが一番美しいんだろう――と思っていたんだけど、この石庭に関してはその飛び石からその風景を楽しむ庭園、という性質の方が強いのかもって感じる。竹林も奥の方だけにあるし。
庭園の背後にはモミジの樹が見られる通り、例年11月下旬には紅葉とこの枯山水庭園を楽しむ「もみじまつり」が行われているようです。また一年でその時だけ普段は非公開の文化財公開。詳しい日付は『真長寺文化財保存会』のサイトより!
…しかし地図からこの庭園を見つけといて、岐阜市指定名勝なんだ〜〜と思っておいて、もう一つ岐阜市指定名勝があることを(自治体のサイトで)ちゃんと見てなかった自分、詰めが甘いなあ…。法華寺というお寺にもう一つの市指定名勝があるようです。来年行こう!
(2019年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR岐阜駅より路線バス「三輪釈迦前」バス停下車 徒歩2分
長良川鉄道越美南線 関駅より7.5km(レンタサイクルあり)
〒501-2513 岐阜県岐阜市三輪778-1 MAP