雪舟庭

Sesshu Garden, Nakatsu, Oita

雪舟、やっぱスゴい…!室町時代の水墨画の巨匠による、国指定名勝“耶馬渓”の六十六景“京岩の景”を借景とした絶景庭園。中津市指定名勝。

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雪舟庭について

【現役の個人邸の庭園のため見学の際はご配慮を。(見学は可能/2023年時点)】
大分県中津市の旧・山国町の山間部に位置する「雪舟庭」(せっしゅうてい)は水墨画の巨匠として有名な室町時代の画家/画僧・雪舟等楊の作庭と伝わる庭園。中津市指定文化財(中津市指定名勝)に選定されています。

“日本新三景”“日本三大奇勝”等に名の挙げられる九州を代表する絶景『耶馬渓』。福岡県と大分県の県境にある霊山『英彦山』から発し、中津市の市街地の西部から周防灘へと流れ出る一級河川「山国川」の上流~中流エリアで続く奇石・断崖絶壁・岩窟のある渓谷の風景が国指定文化財(国指定名勝)にも選ばれています。

東西南北約30km強ずつ広がるエリアには“耶馬渓六十六景”と呼ばれる絶景/ビューポイントが設定されていますが、この雪舟庭はその一つ「京岩の景」(鷲岩/京岩)を借景に望めるとてもスケールの大きな庭園。

水墨画家として有名な“画聖”雪舟は山口・『常栄寺庭園』をはじめとして国指定名勝の庭園を複数残し、造園家としてもその芸術性を発揮されました。この庭園は市街地から遠く離れた山間部という立地から知名度は低いけれど、代表作の一つと言ってもいいスケール…!

現代の公共交通機関では通じていないものの、旧・山国町と雪舟の庭園『旧亀石坊庭園』が残る英彦山は山道を通じて隣り合っているエリア。この庭園が雪舟の作と記された史料こそ残されていないそうですが、雪舟は旧亀石坊庭園を作庭した1476年の前後に山国町にも1ヶ月半ほど滞在して作庭されたと伝わります。

その岩山の斜面と岩石を活かした池泉鑑賞式庭園。唯一無二なのは前述の「京岩の景」の借景で、庭園を正面に見た時の下手側(この村の村社『保食神社』の鎮座する側)からその風景を眺めることができます。池の中央に園路(石積による土橋)が設けられているのは、この風景を見せるため?また池の上手側にはその景を眺めるためののぞき石や、ビューポイントを示すような平たい石も。

そしてその場の特性を活かした、山から崩れてきているような岩石がそのまま庭園の景色に取り入れられているのがとてもカッコいいし、それらが苔むしている姿も500年超の庭園の歴史が感じられます。春にはツバキやツツジ、そして秋には樹齢500~600年とも言われるキンモクセイが花を咲かせ、そして11月には自然のモミジが紅葉し――と四季の彩りが感じられる庭園でもある!

借景の美しい庭園は数多くあれど、国指定名勝でもある、芸術的にも神秘的な峰を借景とした庭園はそう多くない――(『平田邸』ともども。)
雪舟、やっぱりスゴい。そしてこんな素晴らしい庭園作品が山あいに残されているのだから、庭園巡りは奥が深いしやめられない――そんな庭園!

(2023年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR中津駅より路線バスで旧山国町役場前⇨コミュニティバス利用で「中詰」バス停下車 徒歩2分
「守実温泉 やすらぎの郷 やまくに」からレンタサイクルで約6km

〒871-0716 大分県中津市山国町中摩 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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