椿山荘に隣接。かつて松尾芭蕉が暮らし、田中光顕伯爵宅“蕉雨園”の一部だった史跡と湧水池。東京の名湧水57選
関口芭蕉庵について
「関口芭蕉庵」(せきぐちばしょうあん)は、俳人・松尾芭蕉が江戸時代の初めに住んでいた言われる場所。『椿山荘庭園』、『肥後細川庭園』など文京区の歴史的庭園の遺構が残るエリアにあります。その2箇所と比べると整備された日本庭園というわけではありませんが、湧水池を中心にした池泉回遊式庭園は明治時代の佇まいを残すよう園路には作庭当時の自然石が用いられています。
松尾芭蕉は『奥の細道』の執筆へと繋がる旅行へ出る前、神田上水の改修工事に携わったと伝わります。その為に現場から近いこの地に3年間に渡り滞在。その後、芭蕉を慕う人々により「龍隠庵」と呼ばれる庵が建てられ、後年に“関口芭蕉庵”と呼ばれるようになったそう。往時の建物は戦災で焼失し現在残る建物は太平洋戦争以降に再建されたもの。
芭蕉庵の池泉は湧水により作られたもので、『東京の名湧水57選』に選ばれています。造園史家・鈴木誠先生、粟野隆先生による『山縣有朋の庭園観と椿山荘』によると、隣接するかつての山縣有朋の本邸『椿山荘』の庭園の水源もこの芭蕉庵の湧水から流れ込んでいたそう。
また同資料によると、芭蕉庵はこの台地の上に建つ明治時代の有名政治家のひとり・田中光顕伯爵の邸宅『蕉雨園』の一部であった時代もあるそう――確かに、現在の園内マップの上部には蕉雨園と繋がっていそうな園路が描かれている(その上で「立入禁止」と言う文字が。蕉雨園は原則非公開)。
芭蕉庵への入園口は目白台台地の上へと繋がる胸突坂の途中にありますが、神田川沿いにある立派な長屋門(閉まってます)も関口芭蕉庵の門。山縣有朋や田中光顕が暮らした時代から、この芭蕉庵が重要な史跡であったことを物語っています。庭園としては弱いかなー…と思ってこれまで掲載していなかったけど、この付近の庭園(椿山荘、肥後細川庭園、大隈庭園や甘泉園公園、鳩山会館)…の庭園巡りの中ではこちらも立ち寄りたいスポット!今回はちょうと神田川沿いのサクラも満開で美しかった!
(2016年4月、2019年4月など訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
地下鉄東京メトロ東西線 早稲田駅より徒歩12分、有楽町線 江戸川橋駅より徒歩15分
都電荒川線 早稲田駅より徒歩6分
〒112-0014 東京都文京区関口2丁目11-3 MAP