甲斐武田氏ゆかりの寺院に日本庭園研究会会長・吉河功さんにより作庭された“松嶽庭”“青龍庭”“酬恩之庭”。
青松院庭園について
「光沢山 青松院」(せいしょういん)は戦国時代前夜、1522年(大永2年)に武田信玄の遠縁にあたる武田伊春により創建された寺院。日本庭園研究会主宰・吉河功さんにより作庭された複数の庭園があります。
鎌倉でお気に入りの『光明寺庭園』の作者がわからない、と書いていたら『作者は吉河功さんという方だよ』と教えていただいて。
重森三玲にも師事した吉河功さん。庭園研究会の略歴にこれまで作庭した庭園の一覧があり、この庭園はそれを見て知った場所。2019年夏に山梨旅行へ出かけた際に拝観させていただきました。本堂北庭“松嶽庭”は自由拝観、新書院北庭“青龍庭”は建物の裏手にあるので事前連絡推奨です。
甲斐武田氏ゆかりの青松院、かつては25の末寺をもつ大寺院だったそうで、現在も決して小さい建物ではないけど、山の中腹まで続く広大な墓所からその影響の強さを感じさせる。所蔵している山梨県指定有形文化財の十一面観音立像は平安時代の作とされており、江戸時代には“甲斐三十三番観音巡礼”の33番結願霊場でもありました。
また山門の先にある仏舎利殿はスリランカのプレマサダ首相(当時)から奉納された仏舎利が安置されているそう。信州の宮大工・宮崎忠仍さん等により昭和62年〜平成8年の長期間をかけ完成した山梨の曹洞宗寺院唯一の仏殿。
吉河功さんの手掛けた庭園はいずれも1970年代後半(昭和52〜54年)に作庭されたもので、庫裡の玄関前にある“酬恩之庭”という枯山水庭園を見ながら境内を奥に進んで、本堂北庭“松嶽庭”へ。
この池泉鑑賞式庭園はこの寺院の歴史を鑑み室町時代の曲水式池泉をテーマにしたものだそうで、裏山を借景とする眺望と近隣の甲斐市亀沢で産出される安山岩による石組が特徴。公式サイトの作庭当時?の写真と見比べると石がだいぶ黒ずんでいて味が出てきているなあと感じます。かわいい亀島。
そして新書院北庭“青龍庭”。こちらは作庭当初の写真と見比べるとだいぶ周囲の植栽(特にサツキ)が大きくなってきていて、石組を隠し初めてしまっているけど――境内の斜面を利用して作庭された庭園で、実は三段落ちの龍門瀑も表現された、桃山時代風の豪華な石組が見所。
雑草だけでも抜くの手伝いたい…訪れたのが夏場で、草木の成長する時期だったというのも大きいかもしれないけど。大きくなったサツキが初夏にはきれいなんだろうなあ。また別の季節にも訪れたい!
(2019年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR中央本線 甲府駅より路線バス「山宮北」バス停下車 徒歩2分
JR甲府駅より約5km(駅周辺にレンタサイクルあり)
〒400-0075 山梨県甲府市山宮町3314 MAP