静雅園

Seigaen Garden, Kashiwazaki, Niigata

ユネスコ無形文化遺産/国重要無形民俗文化財“綾子舞”を伝える会館前に広がるのは、江戸時代末期に京都の庭師が作庭した柏崎市指定文化財庭園。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

静雅園・綾子舞会館について

「静雅園」(せいがえん)は新潟県柏崎市の南部・旧黒姫村の女谷にある柏崎市指定名勝の文化財庭園。江戸時代末期に京都の庭師に作庭された庭園の傍には、ユネスコ無形文化遺産にも登録された国の重要無形民俗文化財“綾子舞”に関する『綾子舞会館』があります。

柏崎市の中心部やJR柏崎駅からは約15km、『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ』で知られるほくほく線・まつだい駅(十日町市)と双方の中間点に位置し、柏崎市の中でも豪雪地帯とされる女谷地区。古くは奈良時代の僧・道鏡が当地を訪れて起こった出来事が地名の由来の一つとも言われます。

地域の中心部に位置する「鵜川小学校」も1995年に廃校となるなど市内でも過疎化が進む地域ですが、そんな小学校の旧敷地に残る文化財庭園が「静雅園」。江戸時代末期〜明治時代初めに掛けて当地の旧家(庄屋)・布施家の七代目・布施良斉〜九代目・布施禎二により京都の庭師が招かれて作庭されたと伝わる庭園で、昭和の初めに布施家の邸宅地が小学校の敷地として寄贈された際にあわせて庭園も寄附されました。
なお当時から医師の家系でもあった布施家は新潟でがん医療に尽力し勲四等瑞宝章を受章された布施栄信さんを輩出しています。

庭に残る少し高い石(かつての沓脱石)あたりが、かつてこのお庭を眺めるためのお座敷があった場所とイメージしながら。“近江八景”が表現されているというこのお庭、手前に琵琶湖を模した池泉をもうけ、奥に比良山系を模した三つの築山を配した池泉鑑賞式庭園。築山に植わったマツの巨木が庭園の歴史を感じさせます(※特に存在感のあったゴヨウマツは残念ながら2018年〜2022年の間に倒木?)。湧水による池泉は透き通って見えるのも◎。

庭師が京都から招かれている=京風でオーソドックスな池泉庭園なのですが、連続した築山や高々とした植栽の雰囲気は近隣の『飯塚邸』の庭園“秋幸苑”にも似ていて、地域性も感じられます。

最後に、この地に伝わる国の重要無形民俗文化財「綾子舞」について。室町時代の1507年、越後国守護・上杉房能が自刃した折にこの地に逃れた妻・綾子によって伝えられたと伝わる500年の歴史の残る舞踊・狂言。
ユネスコ無形文化遺産にも登録されたものの、現在当地も過疎化が進み保存や伝承は課題としてあるそう。静雅園の向かいにある『綾子舞会館』でその歴史が展示されているほか、毎年9月の黒姫神社の祭礼に際して演じられるそう。ぜひ合わせてご覧ください。

(2018年9月、2022年10月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR信越線 柏崎駅より約15km
柏崎駅より路線バス「野田」バス停から約3.5km(徒歩50分)/時刻表は越後交通のウェブサイトにて→こちら
柏崎市市街中心部・十日町市市

〒945-1252 新潟県柏崎市女谷4529 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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