明智光秀ゆかりの寺院に作られた、国重文の客殿から眺める「聖衆来迎図」を表した枯山水庭園。滋賀県指定名勝。
盛安寺庭園について
【拝観は事前連絡推奨】
「盛安寺」(せいあんじ)は比叡山延暦寺・坂本里坊の端っこにある寺院。創建年代は明記されていませんが、越前朝倉氏の家臣・杉若盛安による再興と伝わります。江戸時代初期に建造された本堂が大津市指定有形文化財、そして江戸初期に廃城となった伏見桃山城の遺構で建てられたとされる客殿が国指定重要文化財となっています。また境内には坂本城主だった明智光秀から贈られたという光秀ゆかりの陣太鼓と明智光秀公の供養塔も。
滋賀県指定名勝の「盛安寺庭園」は江戸時代初期作庭とされる枯山水庭園で、聖衆来迎図を表現したものとされます。
白砂を主体とした禅寺の枯山水とは異なり、一面の杉苔と無数に植えられたサツキ・ツツジと石。そして生垣が庭園と一体化しているこの世界観――あまり京都・滋賀で見ない気がするなー…でもどこかで見たことあるよなー…と思ったのですが、静岡の「医王寺庭園」が近しい印象を受けるかも。
作庭者は不明ですが、医王寺の作庭者が小堀遠州or京都「智積院庭園」を手がけた運敞僧正とされており、両者とも江戸時代の京都で名勝庭園を手がけている人物なので――作庭者ではなくても関連した人物が関わっていたりするんだろう。いわゆる遠州流庭園。次回はサツキ・ツツジの花が咲く晩春〜初夏に見てみたい!(なお盛安寺にとっての総本山・坂本の西教寺や、盛安寺から徒歩10分強の「滋賀院門跡」に小堀遠州作庭庭園があります)
またその庭園に面した客殿には長谷川派による障壁画もあるそうですが、今回は客殿の中は見られず。「盛安寺」は秋の坂本のイベント時など時折特別拝観を行っておられるので、その際には鑑賞出来るのかもしれない…。
また盛安寺のある「穴太」(あのう)は古くから「穴太衆」と呼ばれる石工集団が住み、戦国時代には「安土城」を含む多くの城郭の石垣に携わった多くの技術者を輩出していたそう。この盛安寺を囲む石垣もその穴太衆によって城郭と同じような手法で組まれており(写真撮ってなかった…)、大津市指定文化財となっています。
(2019年1月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
京阪電気鉄道 石山坂本線 穴太駅より徒歩6分
坂本比叡山口駅より徒歩20分(観光案内所にレンタサイクルあり)
JR湖西線 比叡山坂本駅より徒歩約25分
〒520-0113 滋賀県大津市坂本1丁目17-1 MAP