山水園庭園Sansuien Garden, Yamaguchi

京都の数寄屋師・笛吹嘉一郎と庭師・後藤重栄によって茶室/庭園が手掛けられた湯田温泉の文化財宿。国登録記念物(名勝地)。

庭園ギャラリーGarden Photo Gallery

名勝 山水園について

【事前に電話での確認推奨】
「名勝 山水園」(さんすいえん)は山口市・湯田温泉の温泉旅館。大正時代~昭和年代にかけて造営された本館が国登録有形文化財、庭園が国登録記念物(名勝地)。昭和年代の増築の際には京都の数寄屋師・笛吹嘉一郎が建築を、庭園の作庭は後藤重栄が手掛けました。
2021年7月に約5年ぶりに訪れたのでその時の写真を更新。

2015年に国登録名勝となった山水園庭園。宿泊のほか、日帰り温泉(立ち寄り湯)“翠山の湯”庭園レストラン“臨水”の利用、そして庭園のみの散策も可能。庭園のみの散策は日時に限りがあるので、事前に電話でご確認を。

大正時代に当初は個人の別荘として造営が開始された山水園。1936年(昭和11年)に実業家・中野仁義の所有となり温泉旅館として創業。昭和中期には昭和天皇皇后両陛下が御宿泊され、庭園にはその記念碑も。

戦後の1950年(昭和25年)と1963年(昭和38年)に京都の数寄屋師・笛吹嘉一郎によって宿泊棟の一部と茶室棟、そして主庭の池泉回遊式庭園のほとりにある四阿“萬壽亭”、敷地最南部にある茅葺きの“いばらき門”が建立されました。いばらき門は奈良の国指定名勝『慈光院庭園』の茨木門の写し。

そして山水園は本館をL字型に囲むように3つの庭園があります。
まずは枯山水庭園と露地。この2つは1950年の増築の際、笛吹嘉一郎により紹介された京都の庭師・後藤重栄の作庭。このうち枯山水庭園が割と独特で、池泉庭園のように広く・深く掘られそこに白砂が敷き詰められている。広い白砂の枯山水こそあれ、これだけ深い窪みの白砂の枯山水って珍しい(他に殆ど無い気がする)。当初は池庭を想定していたのかな。

そして中門をくぐって露地へ。庭園見学では茶室の中は見られませんが、“山月亭”は表千家の茶室“残月”の写しになっているそう。一部の庭石は京都から運ばれたとのことで、梅軒門~つきあげ門の間には京都の銘石“加茂の七石”真黒石の延段が見られます。

枯流を渡って山の斜面を活かした池泉回遊式庭園へ。こちらは大正時代の造営時に作庭されたもの。中央の直線的な石橋と築山の上の六角形の和風建築“臨水亭”がアイキャッチになっていて、臨水亭の近くに注水口とそこからはじまる流れがあります(しかもこの水、温泉水!)。築山の上からは姫山を借景としてものぞめます。
また園内にある石灯籠、その幾つかが“あかぼうの石”と呼ばれる萩市の鍋山で産出されていた赤い溶岩石“鍋山石”で造られたもので、現在では造られていない貴重な石灯籠。

初めて訪れた頃には知らなかった笛吹嘉一郎の名前。それ以後、各地の庭園で氏の茶室・数寄屋風建築と出会い、その多くが文化財となっていた。
一方で“庭師・後藤重栄”の名前は今のところ山水園でしか目にしたことがない。この山水園でも“笛吹が連れてきた”ということだから、他の現場でも一緒に仕事されていたのだろう(だから実は見たことがある庭園がこの人の作の可能性も)。1990年まで存命だったそうなので他にも記録が残っていそうなもんだけどなぁ(論文検索していたら伊勢国・津藩で同名の方が漢詩を寄せていたのだけれど、時代的に別人か)。

山水園は現代には建築家・三宅敏郎によって増築された部屋も。また館内の暖房は温泉熱を利用し二酸化炭素の排出の抑制に貢献している、サステイナビリティな温泉宿。いつかちゃんと宿泊したい、憧れの庭園宿!

(2015年9月、2016年8月、2021年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR山口線 湯田温泉駅より徒歩約20分
JR山口線 山口駅より約2.5km(山口市内にシェアサイクルあり)
路線バス「NTT山口前」バス停より徒歩6分

〒753-0078 山口県山口市緑町4-60 MAP