江戸時代後期の小布施の文化人・高津菁斎の屋敷跡に、小布施の栗菓子の老舗の庭園として作庭された庭園。
桜井甘精堂・泉石亭について
「桜井甘精堂」(さくらいかんせいどう)は江戸時代の1808年(文化5年)より続く、小布施の栗菓子の老舗。その本店の一帯にある食事処「泉石亭」には、ギャラリー「小さな栗の木美術館」や“おぶせオープンガーデン”として公開されている、苔の美しい池泉鑑賞式庭園があります。
2019年5月、初めて小布施の街を訪れた際に足を運びました。“古い町並み”“花のまち”小布施の名産は、栗。かつて徳川将軍家も好んでいたその栗を活かしてこの桜井甘精堂以外にも多くの栗菓子のお店があります。
その歴史は葛飾北斎の天井画で有名な『岩松院』を創建した室町時代の地頭・荻野常倫が、丹波国から信州へ移り住んだ際に丹波から栗の木を取り寄せて植えたのがはじまりだそう。江戸時代には名産品となり、松代藩が毎年秋に将軍家に献上することになったとか。
桜井甘精堂の初代・桜井幾右衛門がお茶会の際に栗を使った“栗落雁”を作ったのがはじまり。その後近代~現代にかけて様々な栗菓子を製造し、現在では長野県内に複数店舗をかまえています。
現在本店と泉石亭が立つ場所は、江戸時代に小布施で高井鴻山(小布施に葛飾北斎を招いた人物)と並ぶ文化人と言われた高津菁斎の屋敷だった場所に建ち、主屋(店舗棟)は再建されたものだと思いますが約200年前に建てられた屋敷のあった場所には古い蔵なども残ります。
泉石亭では御菓子ではなく栗おこわなど栗を活かしたお食事が庭園を見ながら楽しめます。
その庭園は“おぶせオープンガーデン”として自由見学が可能。園路の感じから現代に作庭されたものかと思いますが、苔と新緑のモミジの緑が美しい庭園で池の水もきれい!建物奥に園路は続いてゆき、その路地裏へと散策を楽しむことができます。
また土蔵の中では「小さな栗の木美術館」というギャラリーを併設。七代目当主・桜井佐七によって収集された近代の画家が展示されています。カフェやお食事、お庭巡りとあわせてどうぞ。
(2019年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
長野電鉄長野線 小布施駅より徒歩7分(※駅にレンタサイクルあり)
小布施駅より周遊バス「北斎館入口」バス停下車 徒歩3分
〒381-0201 長野県上高井郡小布施町大字小布施中町779 MAP