八代城主9代・松井章之公の御茶屋に造られた池泉庭園。隣接する大正初期の近代洋風建築も見所。
栽柳園について
【見学は要問合せ】
「栽柳園」(さいりゅうえん)は八代城主9代・松井章之公が細川家の茶道役・古市師に設計を依頼し、松井家の茶道方・徳永吉澄の作庭により明治時代初期に完成した池泉回遊式庭園で、八代市指定名勝。八代市立植柳小学校の敷地内にあるため、見学については事前問合せ推奨です。
当時松井章之は家督を松井盈之に譲り、八代城や松濱軒から南へ約2.5kmのこの地に隠居。そのお屋敷一帯は「植柳お茶屋」と呼ばれていました。
池泉の背後に見える富士山を表現した築山は「水前寺成趣園」にも似ており、その池泉も駿河湾を表現したもの。また以前は(現在は堤防を挟んで)敷地のすぐ隣を流れている球磨川から水を引き入れたより規模が大きい庭園で、細川家古流の茶庭・書院庭としても知られていたそう。
「西南の役」で薩摩軍の本陣となった歴史を経て、明治の終わりに小学校の敷地となり庭園も小規模なものに。当初は築山の向こうには竜峰山、八峰山という八代東部の山々を借景に取り込んでいたそうですが、現在は体育館の屋根によってその先の風景は遮られています(曇りじゃなくすっきりした天気ならその先の景色が見えるのかもしれない…)。
また庭園のすぐ隣にある「植柳小学校旧講堂」は大正時代の鉄筋コンクリート造建築で、ヨーロッパで多くの洋風建築を見てきた坂田道男(初代八代市長)が構想し、熊本市役所に勤めていた西本清樹の設計により建てられたもの。こちらも八代市指定の有形文化財・建造物となっていますが、歴史的にもデザイン的にももう少し上の指定をされてもおかしくない感じ…こういう建造物が文化遺産オンラインに載ってくれると嬉しい(笑)
庭園は全体的に樹木が生い茂っていて石組も築山も見えづらいので…物足りなさを感じるかもしれないけど、この近代建築含めると見応えありかと!
(2018年12月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR鹿児島本線 八代駅より約2km(徒歩約25分)※駅にレンタサイクルあり
日奈久温泉駅または八代市役所から路線バス「植柳上町」バス停下車 徒歩5分
〒866-0081 熊本県八代市植柳上町449 MAP