西教寺庭園

Saikyo-ji Temple Garden, Otsu, Shiga

明智光秀によって再興され、国重文の本堂・客殿をほこる寺院に作庭された小堀遠州の庭園などの4つの庭園。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

西教寺庭園について

「西教寺」(さいきょうじ)は古くは聖徳太子により創建された寺院。戦国時代にはこの地を治めた明智光秀ゆかりのお寺として境内には光秀の供養塔や光秀一族の墓所が残り、そして小堀遠州により作庭された庭園があります。
2019年年始に続いて、11月に再訪!掲載している庭園の写真ではそこまで「紅葉の名所」…という印象は受けないかもしれませんが、参道はモミジの木が立ち並び美しい紅葉を堪能できました!

国の重要伝統的建造物群保存地区『比叡山坂本里坊』の中心からは徒歩約20分程度の場所にある西教寺。少し外れにあるので今回が初めての訪問になったのですが、全国には400以上の末寺を有する天台真盛宗の総本山という大寺院。
参道にも複数の塔頭を持つのですが、こちらにも別途庭園があったりしたのでこちらで紹介しています。

飛鳥時代に聖徳太子による創建後、平安・鎌倉期には荒廃していたそうですが、延暦寺で20年間の修行を積んだ真盛上人が再興。
その後戦国時代には織田信長の比叡山焼き討ちで被害を受けたものの、坂本城主となった明智光秀により保護・復興が手助けされ、現在も残る総門は坂本城の門を移築したもの。その他国の重要文化財となっている梵鐘も明智光秀によって寄進されたもので、境内には明智光秀の供養塔や光秀の内室・明智煕子(ひろこ)の墓所が残るなど光秀ゆかりの寺院です。

またその他にも豊臣秀吉の伏見城にあった御殿を移築した客殿(桃山時代)、江戸時代中期に再建された本堂が国指定重要文化財、明治〜昭和初期の近代に建てられた書院や新座敷などが国登録有形文化財となっています。客殿には狩野派による襖絵も。

…この辺までですでにお腹いっぱいなのですが、更に庭園は4箇所も!

■客殿庭園(1、7〜11枚目)
江戸時代初期に小堀遠州によって作庭されたという池泉鑑賞式庭園。裏山の斜面を利用しつつその池泉は琵琶湖の姿を表現しているそう。冬に訪れた後、斜面の紅葉が美しい写真を見て――期待して秋にも訪れたのですが、一番中心のモミジが今年はちょっと紫っぽくなってしまっていたのだけ残念…!手前の苔も良い感じだし、新緑の時期に訪れたらまた違う美しさを味わえるかも。
また池のほとりにある数寄屋風の「観瀾亭」は明治時代に建てられたもので国登録有形文化財。後から追加された建築ではあるのですが、その中からも眺めてみたい!

■大本坊庭園(3〜5枚目)
受付から一番近くにある庭園で、こちらの枯山水庭園の作庭時期も江戸時代初期。客殿庭園とはまた全く違う雰囲気ですが、ゆるい築山に刈込みが埋め込まれている姿は坂本の逆エリアに位置する滋賀県指定名勝『盛安寺庭園』と雰囲気が似ている。またその白砂(海)に埋め込まれている飛び石が茶庭式のようでもあるのがこの枯山水庭園の特徴。

■書院庭園(12〜14枚目)
明治時代に作庭された枯山水庭園。坂本のすぐ近くに住んだ石工集団『穴太衆』によってこの坂本地域に多く築庭された庭園の中の一つで、“穴太衆庭園”とも言われます。

■裏書院庭園(15〜18枚目)
平成元年に地元の庭師・西村繁太郎(西村繁造園)さんによって作庭された池泉鑑賞式庭園。細くなった露地部分にまで細長い庭園が表現されているのがとても良い感じ!

坂本の中心部から少し外れているのでこれまでは巡る優先度を下げてしまっていたお寺さんだったのですが…、お寺の歴史や様々なタイプの庭園が見られること、文句無しでオススメしたい庭園です!また別の季節に行こう。

(2019年1月・11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

京阪電気鉄道・石山坂本線 坂本比叡山口より徒歩約20分(観光案内所にレンタサイクルあり)
JR湖西線 比叡山坂本駅より徒歩約30分
坂本地区の路線バス「西教寺」バス停下車 徒歩3分

〒520-0113 滋賀県大津市坂本5丁目13-1 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
PICK UP - TOUR / EVENT
MEDIA / COLUMN
最新の庭園情報は約10万人がフォローする
【おにわさん】のSNSから。