龍潭寺庭園

Ryotanji Temple Garden, Kameoka, Kyoto

管領・細川政元の援助で再建され世界遺産“龍安寺”とも並び称されれた寺院の庭園は埋没が進む…京都府指定名勝。

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京都の龍潭寺庭園について

「金剛山 龍潭寺」(りょうたんじ)は世界遺産の『龍安寺』と八木町の龍興寺とともに臨済宗妙心寺派の“三龍寺”と呼ばれているとされる寺院で、妙心寺四派の祖・雪江宗深和尚により創建された「大梅寺」をルーツとする寺院。龍潭寺というと浜松の『龍潭寺庭園』が有名ですが、京都にもあったんだな。
亀岡市に4箇所もある京都府指定名勝のうちの一つ。2019年8月に初めて訪れました!

看板の紹介文を参考に。室町時代の中頃、1489年(延徳元年)に大梅寺は火災で焼失。その後、雪江禅師の弟子・特芳禅傑和尚が移り住み、細川家の家老・松井宗信が隠棲した縁で細川政元にも援助されて1496年(明応6年)に再建。その際に現在の寺名に改められました。ちなみに冒頭に名の上がった『龍安寺』も細川政元により再興された点で繋がりが。

その後、戦国時代に入り1577年に明智光秀により焼かれたものの再興を果たし、江戸時代には皇室や徳川家にも保護されて栄えたそう。明治時代の廃仏毀釈で“瑞龍院”、“青厳院”、“福寿庵”などの塔頭は全てなくなったものの、寺宝としては室町時代の書物・絵画や松井宗信像、徳川家康から下賜された陣羽織で造った袈裟などが残るそう。

そして“もとあった石を活かした”門前の庭園が京都府指定名勝になっているのですが――その一部と思しき巨石は土に埋没し、池泉庭園らしき池も枯れ、架けられている石橋も外れ落ち、草も自由に映えているようなそんな状態。うーん、いつからこのような状態なのだろう。
看板の紹介文に“奇岩老木の中国天目山に比される――”とあるので、元の姿は巨石の立ち並ぶ山梨の『栖雲寺庭園』に近い石庭だったのかもしれない。

日本庭園に“美”を求めている人からしたらきっと『残念な姿』としか言いようがないのですが、その一言で終わらせたくない。もう少し突っ込んで言うと、『おにわさん』で伝えたい中にはこうした庭園も含まれていて――名園が集まる京都府の文化財に選ばれた歴史的庭園であっても、公式な情報があまり出回っておらず、荒廃し、書籍の範囲では見向きもされない事実。そして多分このまま土に帰る可能性の方が高いのだろうなあ…。

巨大な台風が毎年いくつも襲い、土砂災害も少なくない日本において、自然の山の斜面を活かした日本庭園を維持し続けるのはとても大変なこと。それでも近代以前まで数百年と守り続けられてきたのは、庭園自体もその地域の聖なるものの一つであり、地域が金銭面でそのお寺を支え時には寺院側がある種公共事業の一つとして地域の人々とともに庭園を維持してきた、そんなこともあったのではないかと想像したり。

(2019年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR山陰本線 並河駅より約2km(徒歩25分・駅にレンタサイクルあり)
JR亀岡駅より4.5km(駅にレンタサイクルあり)
並河駅より路線バス「青葉学園前」バス停下車 徒歩3分(※本数僅少。土休日は1日3本)

〒621-0031 京都府亀岡市稗田野町太田東谷40 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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