京都岡崎・平安神宮の東隣に2023年に新たに開かれた京町家ギャラリーショップ。自然風の“雑木の庭”が彩る空間は“市中の山居”…。“京庭なる井”成井大甫作庭。
茶とGallery 柚と月 / 六露について
【金・土・日曜日のみ】
「六露」(ろくろ)は京都を代表する観光スポット:岡崎エリア〜『平安神宮』の東隣の京町家を活用して2023年5月にオープンした店舗。現在は1階部分に古美術と抹茶スイーツ、無農薬の薬膳茶を取り扱うギャラリー/セレクトショップ『茶とGallery 柚と月』が運営されています。
(*2023年5月中旬現在はギャラリーのみオープン)
オムライスの名店『グリル小宝』のすぐお隣、どのお庭へ行くにもよく通り掛かる道沿いの古民家。見慣れていたはずの古民家の銅板葺きの門が開かれていた姿にまず驚き。そして玄関越しに見えた自然風のお庭に惹かれたので紹介!
築100年を越える京町家を修復し開かれた「柚と月」。その経年した姿や味のある土壁、古材を最大限に活かした空間は現代的にリノベーションされる京町家とはまた異なる魅力を内包していて、取り扱われている古美術/アンティークと相まってとても素敵…!この5月現在はオープンを記念して約2,000年前、ローマ帝国の時代に作られたという貴重な“ローマンガラス”が展示されています。
そのコンセプトは《五感を研ぎ澄ませ 心靜かに自分の内側へ》。ギャラリーともう一つの柱でもある“お茶”は、完全無農薬にこだわり、茶人・岩咲ナオコさんにより調合されたオリジナル薬膳茶や茶菓をいただくこともできます。また余談ですが店名の“柚”はオーナーの愛犬のお名前とのことで、看板犬として来店者を迎えてくれます。ワンちゃんかわいい。
そして当サイトで推したいのはやはり“お庭”。カラフルな石畳が現代的/モダンな前庭、そしてオーナーが“敢えて自然な姿を残したかった”とこだわった中庭。
作庭を手掛けたのは『Casa BRUTUS』の最新号「インドアグリーンの教科書」にも登場している庭師・京庭なる井 成井大甫さん。(紹介はできていないけれど、)有名ブランド『ジャーナル・スタンダード』によるラグジュアリーなコンセプト店舗『journal standard luxe KYOTO』の“雑木の庭”も手掛けておられる。
前庭はもう道路へとはみだしていきそうな勢いで草花が残されていて、そして中庭も長い間放置状態になっていた庭の姿を「なるべく自然な姿で残したかった」とこだわられたお庭。その自然な木にはオアシスのように鳥が集いさえずりを響かせている、まるで山の自然にいるような“市中の山居”…。
京都のよく整った庭園を見慣れていると「自然すぎやしないか」という感想を抱く方も確かにいらっしゃるかもしれない——けれどまさにそれこそが“無作為の作為”。
近年(業界的に)“雑木の庭”とか評される庭や緑地スペースが増えているのは今の現の世代の“自然への切望”の現れ。山そのものが近い京都にはそのような雑木の庭は少ない印象があるけれど、また5年、10年経った頃にこの庭のデザインの魅力がより伝わっているはず。京都・岡崎の新たな素敵スポット、ぜひ訪れてみて。
(2023年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)