蓮華院誕生寺庭園

Rengein Tanjoji Temple Garden, Tamana, Kumamoto

《2年間毎日通って造りあげた京都迎賓館より素晴らしいものに》…現代の京都の作庭家が天台宗の名僧の地元・熊本玉名に手掛けた日本庭園。巨大な伽藍にも注目!

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蓮華院誕生寺・本院庭園について

「蓮華院誕生寺」(れんげいんたんじょうじ)は熊本県玉名市にある真言律宗の別格本山寺院。境内から出土した五輪塔が「関白塔 附 浄光寺跡出土五輪塔地輪」として玉名市指定重要有形文化財(建造物)。その庭園や参道の作庭は現代の京都の造園家・植芳造園/井上剛宏さんによるもの。

蓮華院誕生寺には玉名の市街地に近い「本院」と、そこから約4km(標高は+200メートル)離れた「奥之院」があり、奥之院にも進士五十八(元日本庭園協会会長)さん+植芳造園さんにより約40年前に作庭された広大な池泉庭園があるのですが、ここでは本院のお庭を紹介。

その歴史について。現在見られる「蓮華院誕生寺」が創建(中興)されたのは1930年(昭和5年)と比較的最近の出来事。
その前身とされる寺院が、鎌倉時代の創建と伝わる「浄光寺蓮華院」。奈良・西大寺を総本山とする真言律宗の別格本山/九州の筆頭寺院であり、江戸時代に編纂された「肥後国誌」にもその巨大な伽藍について記されたものの、それが記された際にもその姿は既になく。戦国時代の戦乱により焼失。

そんな浄光寺蓮華院の旧跡(本院のある場所)で、玉名出身の天台宗の高僧・皇円上人のお告げを受けた初代住職・川原是信さんによって「蓮華院誕生寺」の名で中興され、現在のご住職は三代目。御本尊はいわゆるよく知られる仏様ではなく皇円さん(皇円大菩薩)。皇円は浄土宗の開祖・法然上人の師としても知られます。

中興以来、地域で信仰を集め、今では奥之院にある梵鐘・五重塔は「世界一」「日本一」とも言われる大きさ(五重塔は約50m)。また本院の方も市街地にありながらも境内の広さが圧巻で、その中にある本堂は昭和40年、五重塔は1997年、南大門は2011年、そして多宝塔が2018年に建立されたもの。また南大門の四天王像は京都・今村九十九仏師が5年半の歳月をかけて造られたもので、これも大きさは日本一だとか。

そんな比較的新しい伽藍ですが、この地で出土した二基の五輪塔(鎌倉時代~南北朝時代)が玉名市指定重要有形文化財(建造物)で、これらも五輪塔としては九州最大の規模なのだとか。

1997年建立の五重塔の前に現在ある池泉庭園が作庭されたのは2014年のこと。《2年間毎日通って造りあげた『京都迎賓館』より素晴らしいものをぜひ造りたい》という想いで植芳造園・井上剛宏さんにより手掛けられたこの庭園。
アイキャッチの五重塔の足元には船着き場も兼ねたような石組み、その脇に巨石の立石による石碑が配され、手前には皇円のルーツ:関白藤原家の時代の宮廷庭園のような洲浜…奥には京都の庭園のようなモミジ林をのぞみます。(※形式的には回遊式庭園ですが、一般の拝観者は手前から眺めるのみ)

なお、南大門から山門に至るまでの長い参道、多くのソテツや庭石が見どころのランドスケープも井上さんによるもの。その参道から匠の技を体感して。

(2024年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR鹿児島本線 玉名駅より徒歩25分
JR玉名駅より路線バス「築地公民館」バス停下車 徒歩2分/「築地」バス停下車 徒歩10分

〒865-0065 熊本県玉名市築地2288 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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