
“聴竹居”で知られる近代の建築家・藤井厚二の貴重な現存建築の一つ。2026年2月までギャラリーとして活用/公開された近代和風建築。国登録有形文化財。
Relevant Object 旧喜多邸について
【要予約/2026年2月で公開終了】
「旧喜多邸」は京都市左京区の住宅街に位置する大正時代の近代和風建築。国指定重要文化財『聴竹居』で知られる近代の建築家・藤井厚二が設計を手掛けた、氏の現存する貴重な作品の一つで、「喜多家住宅主屋」の名で国登録有形文化財。
2022年から北欧生まれの家具・陶磁器・オブジェなどの収集・展示をされているギャラリーとして予約制で公開されました。(~2026年2月で公開終了)
京都大学~世界遺産『銀閣寺』へ至る主要な道路からは北側に位置する「北白川」の住宅街。その中でも、琵琶湖疏水に沿って並ぶ3つの近代の邸宅――ヴォーリズ建築『駒井家住宅』、藤井厚二の手掛けたこの旧喜多邸、そして増田友也の手掛けた個人邸(非公開)が並ぶこの一帯は特に文化の匂いが感じられる一角。
2022年から予約制で公開されていたギャラリー『Relevant Object』(レリヴァント・オブジェクト=価値あるもの)。
表札には「喜多源逸」と掛かるこの邸宅が建築されたのは1926年(大正15年)で、実は氏の自邸で代表作『聴竹居』よりも前。施工を手掛けた大工・酒徳金之助は聴竹居にも関わりました。
施主・喜多源逸は近代~昭和時代に掛けて活躍した化学者で、約150年の歴史を持つ「日本化学会」の会長もつとめた人物。藤井とは京都帝大(現・京都大学)の同僚で、その縁から自邸を依頼したとか。ちなみに先述の駒井家の施主・駒井卓、増田友也、藤井、喜多源逸は全員京都帝国大学~京都大学の教授…という繋がりが。
障子や床間、畳などの和の要素と、フローリング、ガラス戸など洋の要素が共存する、和洋折衷なデザインは『聴竹居』などと同様。1階中央部に畳のお座敷がありますが、温度対策のため?(+腰掛けられる実用性のため)一段高くなっている独特なデザイン。そんな空間を活かし、本ギャラリー所蔵の北欧のインテリアが配された素敵な空間。
そして邸宅の前にお庭が広がります。近隣にもう一つある藤井厚二設計の邸宅『小川家北白川別邸』(※通常非公開)には近代京都の代表的な作庭家・七代目小川治兵衛(植治)の作庭とされる日本庭園がありますが、旧喜多邸のお庭はそれと比べるとシンプルな構成。足元には苔(元々は芝生だったとか)や低く保たれたサザンカやサツキの刈込、頭上には数本のモミジが広がる――『聴竹居』のお庭と似た雰囲気を醸します。(なので、このお庭には「藤井のお庭の趣味が現れている」との評も。)
苔は後年(近年)広がってきたそう。近年の京都は特に暑く苔の維持管理が難しくなっている中で、元気にきれいに広がる苔…日々のお手入れの賜物はもちろんですが、すぐ傍を水路が流れる環境も苔庭にとってはプラスに作用しているそう。今回の写真は冬の姿ですが、苔にサザンカのピンク色の花びらが落ちた姿が◎。建築の後はお庭からの景色も眺めてみて。
(2021年6月、2026年2月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
叡山電車 元田中駅/茶山・京都芸術大学駅より徒歩10分
最寄りバス停は「北白川小倉町」「上終町・瓜生山学園京都芸術大学」バス停 徒歩4~5分
〒606-8256 京都府京都市左京区北白川伊織町54 MAP
投稿者プロフィール

- Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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