NHK朝ドラ“おむすび”の舞台・糸島で古代からの歴史を持つ名刹の、福岡県天然記念物の大カエデを中心とする紅葉の名所庭園。
雷山千如寺 大悲王院庭園について
「雷山千如寺 大悲王院」(らいざん せんにょじ だいひおういん)は福岡県糸島市にそびえる「雷山」の中腹に位置する寺院で、通称「雷山観音」。真言宗大覚寺派の別格本山。福岡県指定天然記念物の大カエデを始めとする紅葉の名所として知られるほか、その池泉庭園は室町時代の作庭と伝わります。国指定重要文化財の仏像「木造千手観音立像」「木造清賀上人坐像」等を所蔵。
2024~2025年のNHK朝ドラ『おむすび』の舞台の一つでもある糸島市。その南にそびえ、福岡県と佐賀県の境となっている954メートルの「雷山」。寺院の創建以前から雷神がいる山として信仰される霊山で、その中腹、350メートル程の場所にある「千如寺」も奈良時代の742年(天平14年)聖武天皇の勅願により創建と伝わる古刹。(もっと古く178年という話も)
なお千如寺からも近い古代の山城「雷山神籠石」(国指定史跡)はそれよりも古く飛鳥時代の山城と推定。とにかく歴史ある雷山!
長い歴史の中でも最も栄えたのは鎌倉時代。元寇に備え、鎌倉幕府の祈願寺として山内に7つの寺院と300もの僧坊が存在していたとか。千如寺はそれらを束ねる存在でした。
そんな名刹も戦国時代の戦乱や、明治維新での廃仏毀釈を経て、残るは「大悲王院」のみに。福岡藩主・黒田継高の援助により大悲王院が建立(再興)されたのは江戸時代中期の1753年(宝暦3年)。山門から始まり、庫裏、本堂、聖天堂、高台部にあり重文の観音様をまつる観音堂などは江戸時代から残る建築。
庭園は大まかに分けて2つ。方丈の手前に広がる「大カエデ」を中心とした枯山水庭園(前庭・外庭)と、客殿の奥に広がる池泉鑑賞式庭園「心字庭園」。それぞれに福岡県天然記念物のカエデとビャクシンの古木が主木としてそびえます。
■前庭(外庭)
山門入ってすぐ、本堂へと至る参道からも眺められる枯山水庭園。庭園のための庭園…というより大カエデを見せるため・守るため・清めるための白砂のお庭と言った趣きで、低い竜安寺垣・光悦寺垣で視界よくお庭~大カエデ~雷山山頂の借景…を見通せる。尚、この大カエデは黒田継高のお手植えとも伝わります。
■心字庭園
客殿の向こう側、客殿・書院と方丈、そして茶室から鑑賞するための池泉鑑賞式庭園。庭園は大悲王院が再建された江戸時代より更に古く室町時代~戦国時代の作庭と伝わります。確かに黒田継高ゆかりの『友泉亭公園』の様な江戸時代の庭園の雰囲気よりは、『清水寺本坊庭園』、『藤江氏魚楽園』の様な雪舟庭園的な雰囲気がある。
手前の中島に植わったビャクシンの木、左手の斜面に植わったカエデの大木も福岡県天然記念物。観音堂への階段の途中からの眺望も◎!
今回は惜しくも紅葉のピーク過ぎだったけどいつかピーク時期にも訪れたい…!でも紅葉も良いけれど、厳かな“名刹”の雰囲気は四季訪れて楽しめるお寺。
(2024年12月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR筑肥線 筑前前原駅より9km(駅前に電動のレンタサイクルあり)
※紅葉時期には臨時のシャトルバスも。バスの情報は観光協会にお問合せください。
〒819-1145 福岡県糸島市雷山626 MAP