桜下亭庭園

Oukatei Garden, Hiroshima

広島市内の貴重な木造古民家に、上田宗箇ゆかりの“宗箇山”を訪れた重森三玲が作庭した庭園。(現在は予約制レストラン。)

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桜下亭庭園について

【要予約制・レストラン利用者向け】
「桜下亭」(おうかてい)は広島の中心部からやや北西に位置する、築150年(江戸時代末期)の古民家をリノベーション/活用したフレンチレストラン。その枯山水庭園及び茶室は昭和の名作庭家・重森三玲が手掛けたもので、桜下亭の名も三玲が命名した茶室が由来。

2021年春に初めて訪れました。その存在は3年前に『三瀧寺庭園“補陀落の庭”』に訪れた時にも頭にはあって…でもフレンチとかハードル高いなあ、見学だけ出来ないものか…と思っていたということがあった。
その後(この1年で)ちょっと値段の高いランチも足を運ぶようになったので今回予約して訪れました。念願!

広島市の中心部からは約5km、作庭家としても知られる武将茶人・上田宗箇がその名の由来の“宗箇山”(三滝山)の中腹に桜下亭はあります。
三瀧寺にも木造の被爆建物(観音堂など)が残っていますが、この桜下亭も広島市街地からは距離があったこと・また山影だったことから、江戸時代末期に建てられたという書院造りの古民家は被害を免れ現存。

アプローチからさっそく重森三玲作庭の庭園。氏らしい抽象的な曲線を描く延段と苔の築山の中に立石を配する枯山水庭園で出迎えられ、庭門をくぐると主屋と主庭園へ。
主屋から正面に眺める枯池の庭園は、石組・三尊石の向こうに牛田山?神田山?を借景としてのぞみます。この石組やその奥のサツキの刈込も借景の山を表現したのかな?と感じさせられる、開放的な庭園。

そして桜下亭の名前の由来にもなっている樹齢100年以上の桜の木の下を抜けて、露地庭~茶室へ。ここで面白いな!と思ったのは茶室の軒下の石畳は煉瓦が敷き詰められたデザインだったこと。これも三玲によるデザインなんだそう。赤い石やモルタルは好んで使われる作風だけど、レンガというのはこれまであまり見た記憶がないな…。

決して“和”一辺倒ではない重森三玲の庭園。それと呼応するかのような、リノベーションされた屋内のインテリア。縁側や欄間の数寄屋風のデザインは当時の面影をそのままに、オーナー・岡本忠文さんが自ら足を運び選んだ一点もののアンティークの照明やモダンなテーブルで彩られた空間。創作フレンチも大満足!!

ところでこの庭園、自分がこれまで読んだ重森三玲の書籍の実績には載っていない。福山市や愛媛県西条市で“岡本氏邸”の庭園を手掛けているけど、同じ岡本だけど関係ないそうで。
でも庭園の作風は勿論だけど茶室の扁額が「重森三玲のあの字」。書籍には三瀧寺も載っていなかったりするので重森家の史料から抜けているとかそういうことなのかな…。

岡本家と重森三玲の出会いは、茶人でもある三玲が上田宗箇の史跡(宗箇が植えた“宗箇松”など)を見るべく宗箇山を登った折に、岡本家を訪問。高台のこのロケーションを好んだこと・そして意気投合したことから作庭を依頼。

かつては農業が主だった周辺地域も現代では平成の住宅街に。古い家を壊して新しい家を建てることもできる中で、この古民家と庭園をレストラン/イベントスペースとして新たな命を吹き込んだオーナーに尊敬の念を。
そして(戦災当時は広島市ではなかったとのことだけど、)現・広島市に残る貴重な近代以前の木造建築。広島を訪れた際の特別なランチやディナーに!

(2021年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR可部線 安芸長束駅より徒歩12分
広島駅・広島市街から路線バス「広島文化学園大学・短期大学」バス停下車 徒歩3分

〒731-0136 広島県広島市安佐南区長束西3丁目9-17 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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