温泉寺庭園「龍紅窟」Onsen-ji Temple Garden, Gero, Gifu

下呂温泉にまつわる「白鷺伝説」ゆかりの寺院に残る枯山水庭園。ライトアップもされる紅葉も美しい。

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温泉寺庭園について

【通常非公開】
「温泉寺」(おんせんじ)は下呂の温泉街を一望できる高台にある寺院で、下呂温泉にまつわる「白鷺伝説」の白鷺に化けていたという薬師如来が祀られているお寺。

その白鷺伝説について。平安時代に発見された下呂温泉の源泉ですが、鎌倉時代の1265年に温泉の湧出がストップ。すると一羽の白鷺が降り立ち、村人がその白鷺の所へ向かうとそこに温泉が湧いていました。その白鷺が山に舞い戻りその姿を追って山に入った所、白鷺の留まった木の元に薬師如来像が鎮座していました――。その薬師如来を祀るため開かれた「湯島薬師堂」を元に、禅昌寺の末寺として「温泉寺」が創建したのは江戸時代初期。現在も本堂の前の薬師如来像からは温泉が湧き上がっているそうです。

毎年秋に紅葉ライトアップが開催。それと同時の特別公開で書院の枯山水庭園「龍紅窟」(りゅうこうくつ)を拝観しました。多くの自然石を使った高さと迫力ある枯山水庭園で、庭の左右に山石による滝組が施されているのが一番の特徴とのこと。作者・作庭年代は不明とされていますが、サツキ?ツツジ?のアクセントが「禅昌寺庭園」と似ている――と言いたかったけどそこまで似てないか。明治以降だったら記録に残っていると思うので江戸時代以前ということにはなるのかな。石組の上部の紅葉もきれい。

また「龍紅窟」の借景にもなっている紅葉を主体とするのが「名勝 楓月庭」で、約100本の紅葉が植わっているとのこと。こちらは本堂の裏にある坂道が散策路になっているので、おそらくどの時期も自由に歩けそう。

特別公開時には併設されている「医王閣 掬水荘」も公開。昭和初期に名古屋の数寄屋建築の名手・粥川茂三郎が手掛けたという建築で、元は下呂温泉の旅館「水明館」に造られたもの(昭和後期に温泉寺に移築)。どうりでお寺の建物らしくない吹き抜けがあったり、大広間や和室もとても意匠を凝らされているわけだ…旅館と言われれば非常にしっくり来る。ちなみに展示されている書などのアート作品は書家・小林勇輝さんによるもの。

また境内にある飛騨屋久兵衛歴代墓、飛騨屋4代目益郷の遺構地蔵堂は岐阜県指定史跡となっています。飛騨屋は温泉寺の開山にも深く関わった一家で、江戸時代には蝦夷地開発にも関わった下呂出身の豪商。

最後に余談で…温泉寺の歴史の中にある一文。
『下呂温泉にはたくさんの湯治客が訪れるようになり、江戸中期には年間三万人を数えた。温泉寺にも、花柳病などの湯治客がお籠りし――』…花柳病って初めて見ましたが、江戸時代の性病の呼び名なんですね。日本三名湯が性病の湯治場として人気だった、という歴史はちょっとおもしろい。

(2018年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR高山本線 下呂駅より徒歩15分(駅前にレンタサイクルあり)
下呂駅より路線バス「下呂温泉」バス停より徒歩約10分

〒509-2207 岐阜県下呂市湯之島680 MAP