奈良時代に出雲国風土記にも記され、アニメ“鬼滅の刃”の聖地にもなった巨石・奇石の転がる国指定名勝。
鬼の舌震について
「鬼舌振」(おにのしたぶる/おにのしたぶるい)は国指定名勝および天然記念物となっている島根県奥出雲町の渓谷。2020年には人気アニメ『鬼滅の刃』で登場する大岩のモデル?“鬼の試刀岩”が話題となり聖地に。
国登録名勝の庭園『絲原氏庭園』から雨川駐車場を経て渓谷までは約2km。2020年秋、島根県の庭園を巡った足で訪れました。(駐車場はそこ含め東西南北に計4箇所あります)
黒と赤みを帯びた“粗粒黒雲母花崗岩”の奇石・巨石が崩落したようにゴロゴロと鎮座している全長約2kmのV字峡谷。斐伊川の支流・大馬木川の急流により侵食・崩壊して形成されたもので、一つのビューポイントで見て終わりではなく。どれかと言うと紅葉狩り&ハイキング目的の方が多くいらっしゃった。
古くは奈良時代の733年(天平5年)に編纂、聖武天皇に奏上された『出雲国風土記』でも紹介されたこの景勝地。
記されたのはこの渓谷を舞台とした“姫とワニの悲恋のストーリー”。この地に存在した美しい姫・玉日女命を恋い慕った悪いワニが日本海から川を上ってきたものの、それを嫌がった姫が大岩で川をふさぎ、自らも姿を隠しました。それでも諦められなかったワニは幾度と川をさかのぼったとか。その期間はおそらく、100日後ぐらいまで…。
“ワニが慕う”“ワニの慕ぶる”が転じて“戀山(舌震山)”(したいやま)、“鬼の舌震”と呼ばれることになったとか。そんなエピソードからか2013年に完成した大吊橋は「舌震“恋”吊橋」という名前がついています。ちなみに何度もワニと書いたけど…ワニ=当地で言うサメらしい。
それでも“鬼の試刀岩”“鬼の落涙岩”“鬼の洗濯石”“大天狗岩”“小天狗岩”“天狗遊岩”“天狗の爪岩”“えぼし岩”など、鬼や天狗の名前がついているのは彼らが現れそうな険しい奇勝だから。付近にはお寺はないけど嘗ては修行の場だったりしたからこのような名前がついたんだろう。
出雲の庭園観にも影響を与えているかもしれない、山陰を代表する景勝地の一つ。庭園巡りでもあわせてチェック!
(2020年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR木次線 出雲三成駅より約4km(駅にレンタサイクルあり)
出雲三成駅より奥出雲交通バス「鬼の舌震」バス停下車 徒歩10分(本数僅少。詳しくはこちら)
〒699-1812島根県仁多郡奥出雲町三成1417 MAP