西脇邸庭園

Nishiwaki-tei Residence Garden, Ojiya, Niigata

文学者・西脇順三郎の生家。曽禰達蔵、中條精一郎設計の近代和風建築がより映える、苔と紅葉の美しい庭園。国登録有形文化財。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

小千谷豪商の館 西脇邸庭園について

「小千谷豪商の館 西脇邸」(おぢやごうしょうのやかた にしわきてい)は江戸時代から近現代まで小千谷の政財界を支えた豪商・西脇家の旧邸。江戸時代中期に建てられた主屋と大正時代に曽禰達蔵中條精一郎が設計を手掛けた近代和風建築の離座敷が「旧西脇家住宅」として国登録有形文化財。離座敷の前には池泉回遊式庭園が広がります。

にいがた庭園街道」副代表の藤井さんから「こんな所もありますよ〜」と教えていただいたのが2019年春。2年半ぶりに新潟を訪れた2021年秋に初めて訪れました!上越線の各駅停車で新潟を目指したのは一度や二度じゃないけど、小千谷は初めて降りた…。で、これがまためちゃくちゃ良かった!

江戸時代の元禄年間に小千谷に移住した西脇家。すぐさま商人として頭角とあらわし、1700年代後半には小千谷屈指の大地主となり町年寄役にも就任。
近代には第四銀行(現・第四北越銀行)の前身となる西脇銀行(のちの小千谷銀行)を設立。小千谷町長病院の設立、小学校校舎の寄付など経済面で小千谷の街を支え続けました。経済人ではなくノーベル文学賞候補にもなった文学者・西脇順三郎の父・西脇寛蔵は小千谷町長もつとめ、西脇家から2名の名誉市民が出ています。

そんな小千谷の名家・西脇家(文化財名では「旧西脇家」だけど、今も西脇家関連の企業の所有)。小千谷のメインストリートに建つ主屋も江戸時代中期の建築で貴重なのですが、施設としてはメインの建築になる離座敷の設計者が文化財旧の近代建築を多数残している曽禰達蔵と中條精一郎!中條精一郎は『上杉伯爵邸』も手掛けてるけど、曽禰達蔵の近代和風建築としては貴重。

1918年(大正7年)に建築された離座敷、残念ながらまだ文化財指定のための調査中?とかで中に上がることはできないのですが…まずフォルムが美しいし、外から見える範囲で欄間の花鳥図や中華風?の意匠が加わった床の間など素晴らしい近代和風建築。

その離座敷から見渡せる池泉回遊式庭園。江戸時代からある庭園なのか、離座敷と同じ近代の庭園なのか…パンフレットではわからなかったけど、離座敷〜苔庭へと続く露地庭らしい雰囲気は大正時代にあわせて作庭されたものかな。苔庭の中に手水鉢や沓脱石が途切れる所があったりして、かつては茶室もあったのかなあと。

そしてゆるい築山と平たい池泉の庭園の感じは長岡の『越路もみじ園』(明治時代の実業家の別荘)や柏崎の『秋幸苑』とかと雰囲気似てる。特に頭上の紅葉や苔の中に配された飛び石を回遊する感じ、オーナーが銀行の頭取という点、越路もみじ園は共通項ある(街中と山頂でロケーションは全然違うけど)。自然の石だけじゃなく、色んな石材を飛び石に用いてるのがこの庭園の面白いところ。

現在は園内は一部が公園っぽく整備されており、連休などには地元のイベントの場としても用いられています。自分が訪れた日は地元の保育園?の子たちがたくさん訪れていて…「変なおじちゃんが居る!」とか言われてこっちが緊張したけど(笑)、小さな頃から地元で“日本庭園”を体験したことが記憶に残ったらいいなぁ。

正式に公開された後には茶道・華道など文化的行事として用いる予定…とのことだけど、この座敷はお庭を眺めながら高いランチとか食べたいなあと思える、格式高い空間。
なお小千谷には河井継之助ゆかりの『東忠』という文化財の老舗料亭もある。西脇邸の入場券には東忠のカフェとのセット券もあるので、それがオススメ!

(2021年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR上越線 小千谷駅より徒歩20分強
小千谷駅・長岡駅より路線バス「本町西」「本町中央」バス停下車 徒歩すぐ

〒947-0021 新潟県小千谷市本町2丁目7-6 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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