奈良の新名所へ!奈良公園の一角“瑜伽山園地”に残る“滴翠”山口吉郎兵衛の近代別荘庭園と、隈研吾デザインのホテル/カフェ。
瑜伽山園地・旧山口氏南都別邸庭園について
「旧山口氏南都別邸庭園」(きゅうやまぐちしなんとべっていていえん)は旧三和銀行(⇒UFJ銀行⇒三菱東京UFJ銀行)の前身・山口銀行を経営した大阪の“山口財閥”四代目・山口吉郎兵衛が明治~大正時代に造営した別荘跡に残る庭園。建築家・隈研吾がデザインしたラグジュアリーホテル『ふふ奈良』と山口吉郎兵衛の雅号を冠したレストラン『滴翠』が隣接します。
国指定名勝『奈良公園』の“浮見堂”“鷺池”の南側の一角“瑜伽山園地”(ゆうがやまえんち)に近代に築かれた別荘庭園。2020年の開園後に初めて訪れ、2021年9月に再訪したのでその写真を少しだけ追加。
小説家・志賀直哉をはじめ、世界遺産・春日山を目の前にのぞむ風光明媚な奈良・高畑界隈は近代には多くの文人・画家・茶人などの文化人が移住し集い“高畑サロン”とも呼ばれました。
その代表的な建築・庭園『志賀直哉旧居』に次いで一般公開が始まったのがこの庭園。2019年に茶室“䕪庵”(たくあん)と共に整備され、2020年5月より公開がはじまりました。
復元された茶室を中心に高低差のある池泉回遊式庭園と露地を楽しむことができます。現在はまだ復元されたばかりなので新しい印象も受けるけど、斜面を活かした立派な大滝や、竹林の中には鎌倉時代のものとされる古い石塔も。かつてその茶室には画家・小見寺八山などが訪れた記録も残るそう。
個人的には山口吉郎兵衛が芦屋に残した“阪神間モダニズム”の邸宅『滴翠美術館』に先に訪れ、(そのモダニズム建築とは裏腹の)主に茶道・茶の湯多めの氏のコレクションや屋内外の茶室を鑑賞していた。
山口吉郎兵衛が茶の湯で師事したのは藪内流の茶人・藪内節庵。同じ阪神間モダニズムの『旧村山家住宅』や京都の『旧三井家下鴨別邸』(いずれも国重要文化財)の庭園を作庭した人物でもあり、旧三井家下鴨別邸の近くにも山口吉郎兵衛の旧邸が残っていたりする(※現在は学校関連施設なので非公開)。藪内節庵がこの奈良の庭園にも関わっていたりしないだろうか…?
隣接する『ふふ奈良』と『滴翠』のランドスケープの担当は現代の作庭家・宮城俊作さん率いるプレイスメディア。『ふふ奈良』に泊まるにはなっかなか良いお値段がしますが…、『滴翠』はカフェ利用から可能。隈研吾建築と庭園が眺められる、新たな奈良の名所へ!
(2020年7月、2021年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
近鉄奈良線 近鉄奈良駅より徒歩20分
JR奈良線・大和路線 奈良駅より徒歩30分
※いずれも駅周辺にレンタサイクルあり
奈良駅・近鉄奈良駅より周遊バス「高畑駐車場・浮見堂」バス停下車 徒歩2分
〒630-8301 奈良県奈良市高畑町1184-1 MAP