光雲寺庭園

Kounji Temple Garden, Kyoto

“南禅寺禅センター”としても知られる、後水尾天皇中宮・東福門院の菩提寺。近代京都の名作庭家・七代目小川治兵衛(植治)の庭園は京都市指定名勝。【通常非公開】

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光雲寺庭園について

【通常非公開】
「霊芝山 光雲寺」(こううんじ)は京都を代表する寺院の一つ『南禅寺』の塔頭寺院(境外塔頭)。後水尾天皇の中宮で将軍・徳川秀忠の娘「東福院門」が自ら再興した菩提寺で、江戸時代初期に建造された仏殿、明正天皇寄進の鐘楼や古文書(光雲寺東福門院関係資料)が京都市指定文化財。その庭園は近代の京都を代表する作庭家・七代目小川治兵衛(植治)により作庭されたもので、京都市指定名勝となっています。

通常非公開(一般の拝観はしておられない)ですが、「南禅寺禅センター」として仏殿にて定期的に坐禅会が開催されています。詳しくは公式サイトをご確認ください。(※庭園は非公開)

上記坐禅会以外では通常非公開のこちらの寺院も会場の一つとして、2024年10月12日(土)に『神事×芸術《中庸祭》』が開催されます(主催:TOMO ART WORK STUDIO)。通常非公開の寺院・庭園を舞台に、絵画鑑賞、パフォーマンス、お食事などを通じ、多角的な視点を持つことで中庸の「徳」を学ぶイベント。

>>イベント公式サイトはこちら(TOMO ART WORK STUDIO)

室町幕府の足利将軍家によって制定された“京都五山”。その中で最も高い格式の“別格”に定められた京都および日本の禅宗を代表する寺院・南禅寺。その本坊から北へ徒歩約10分、有名な紅葉の名所『永観堂』の少し先にある光雲寺。一般拝観はされていないものの、『哲学の道』からその仏殿の姿を見たことがある、という方はきっと多いはず。

その歴史について。『南禅寺』を開いた大明国師(無関普門禅師)がその約10年前の1280年(弘安3年)摂津国の『四天王寺』の近くに創建。室町時代には将軍・足利尊氏が全国に設けた「安国寺」の一つとなりますが、応仁の乱の戦乱は大阪にも及び荒廃。

そこから時間が経ち江戸時代初期、南禅寺の英中玄賢禅師に深く帰依した皇后・東福門院が自らの菩提寺を建立したい旨を相談した所から、無関普門禅師の旧跡・光雲寺をこの地に移転・再興することに。1664年(寛文4年)から約2年かけて整えられた境内は当時は5,300坪の中に七堂伽藍の揃う広大なものだったとか。皇族・久邇宮家の菩提寺でもあり、現代では久邇宮家の御陵には南禅寺界隈別荘群の一つ『住友有芳園』が隣接します。

仏殿の前にもいつも美しくされている池泉庭園がありますが、仏殿・庫裡の奥、方丈/書院に面する庭園が七代目小川治兵衛(植治)により作庭された京都市指定文化財庭園。現在見られる姿となったのは1927年(昭和2年)ですが、江戸時代の書物『都林泉名所図会』にも前身の池泉庭園の姿が描かれていたそうで、方丈には加藤清正が朝鮮から持ち帰り徳川家の手に渡った→そして東福門院から光雲寺へ寄進された碼碯手洗鉢も。

七代目小川治兵衛が南禅寺界隈で多く手掛けた他の庭園と同様に、東山を借景として琵琶湖疏水を引き入れた池泉回遊式庭園(※2018年の特別公開時には方丈からの鑑賞のみ)。南禅寺の参道の庭園とはまた異なる、左手奥に東山の山並みが続く光景も新鮮で、かつ庭園が奥へ奥へと続く感じが演出されています。
隣接する(光雲寺の境内のもう一つの庭園でもある)『葵 南禅寺別邸 看月亭』の庭園と比べると滝は小ぶりなものの、東山から流れ落ちてくるように演出。池泉越しの仏殿の姿もカッコいい。

東山側に植ったモミジの紅葉が晩秋にはきっと美しいはず…(※非公開ですが…)。また、築山の上に配された宝篋印塔を遮らないように、低く樹形を保ちながら池泉へとせりだすサルスベリの姿も◎。植治の晩年の作品でもあるこの庭園は、明治大正の作品とはまた異なる魅力が。

そして『看月亭』の庭園が異なるバックグラウンドがあるようで、俯瞰した写真で見るとやはりセットになっているような…そんな気にもなる。イベント等で公開される際はぜひ訪れてみて。

(2018年11月、2024年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

京都市営地下鉄東西線 蹴上駅より徒歩20分弱
最寄りバス停は「宮ノ前町」バス停 徒歩3分

〒606-8446 京都府京都市左京区南禅寺北ノ坊町59 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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