徳川家康の後妻・お亀の方や近代の絵師・柴田是真ゆかりの寺に残る、江戸時代作庭の苔の美しい枯山水庭園。
妙心寺 大雄院庭園について
【通常非公開・特別拝観期間あり】
「大雄院」(だいおういん)は京都を代表する寺院のひとつ『妙心寺』山内にある塔頭寺院で、国指定名勝の庭園『桂春院庭園』のお隣。徳川家康の後妻・お亀の方が家康より賜り伏見より移築された客殿(本堂)/書院/庫裏/表門が京都府指定登録文化財。苔の美しい枯山水庭園がある他、近代に活躍した絵師・柴田是真による襖絵で知られます。
2019年秋の特別拝観期間&HUSKING BEE磯部正文さんの絵画展&アコースティック・ライブで初めて拝観。そして2022年1月にアニメ『五等分の花嫁』と妙心寺の塔頭寺院のコラボ企画で特別拝観をされていたので、約2年ぶりに拝観。その時の冬模様の庭園写真を追加。
*尚、2022年の春は4月29日(祝)〜5月15日(日)まで特別拝観を予定されているそう。詳しくは公式サイトで。
その歴史について。江戸時代のはじめ、1603年に播磨国・竜野城主を務めた石川光元の息子・石河光忠(石川光忠)が父・光元の菩提を弔うために創建。
光忠の母・お亀の方は光元の死後に徳川家康に見初められ、初代尾張藩主となった徳川義直を産みました。その縁から石河光忠は尾張藩の重臣に、そして大雄院に伏見の屋敷が与えられました。但し現在の建築のうち客殿と書院は1726年(享保11年)に再建されたもので、庫裏は江戸時代末期のもの。
客殿から眺められる庭園は大部分が苔の美しい枯山水庭園で、書院前?に小さな池泉があります。約300年前からこの姿ということなので江戸時代中期の客殿・書院の再建の際にあわせて作庭ということなのかな。
そして客殿の襖絵を描いたのが、江戸時代末期~明治初期の絵師・柴田是真(しばたぜしん)。全72面にも及ぶ大雄院の襖絵は若かりし是真の初期の大作であり、また現存する作品の多くが海外に流出しているため国内の作品としても貴重(その他、トーハクや静嘉堂文庫美術館、佐野美術館など割かし有名な美術館・博物館が作品を所蔵)。
また柴田是真が明治宮殿の千種の間に描いた“花の丸大天井”を現代の宮絵師・安川如風が襖絵として蘇らせる『襖絵プロジェクト』も見どころ。
磯部正文絵画展×大雄院
最後に磯部正文さん(以降いっそん)のライブの話も少しだけ。AIR JAM世代――は自分より少し上の世代ですが、自分も学生の頃ハスキンも好きだったバンドの一つでCDも持っているしロック・フェスでも観た(最初の解散前)。あと磯部正文BANDも。そんなバンドのボーカリストが京都のお寺でアコーティック・ライブって……めっちゃくちゃ良い!
夜のお寺で、アンプを通さない生声、生のギターの音、時折聞こえる庭園の池泉の滝の音…という環境。そして月も綺麗だったシチュエーションでの、15やそこらの頃聴いてた“THE SUN AND THE MOON”はやっぱ痺れたなあ…そして大好きな“The Steady-State Theory”も、“欠けボタンの浜”も“新利の風”ももちろん“WALK”も!
その少し後、HUSKING BEEの25周年ツアーにも足を運んだ。庭園と違って――バンドには解散や活動休止がある。笑。死ぬまで観続けられるものではない。彼らが復活してまた観られるのは本当に嬉しい。
一方でライブは当たり前のように数千円払って見るものだけど、庭園やお寺の入場料・拝観料は数百円。庭園もライブのチケット代と同じように、大人がお金を支払う仕組になっていったらいいな、とも思ったり。
今の大人が投資して、若い子に安く体験してあげられたら。日本庭園というカルチャーが未来に繋がる。その点、大雄院に限らないけど――100年以上前の若いクリエイターの作品を大切にし続け、お寺の宝にしているって、すごいよなあ。アート作品の残し方、についても改めて考えさせられる。
(2019年11月、2022年1月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR嵯峨野線 花園駅より徒歩13分
嵐電北野線 妙心寺駅より徒歩7分
最寄りバス停は「妙心寺北門」バス停 徒歩2分
〒616-8035 京都府京都市右京区花園妙心寺町52 MAP