江戸時代の歌人/俳人・松永貞徳が作庭した“雪月花の三名園”の一つが2022年にリニューアル…比叡山の借景が美しい枯山水庭園“雪の庭”。
妙満寺庭園“雪の庭”について
「妙満寺」(みょうまんじ)は京都の洛北・岩倉にある顕本法華宗の総本山の寺院。京都を代表する寺社『清水寺』、『北野天満宮』とともに江戸時代の歌人・松永貞徳により作庭された“雪月花の三名園”の一つ“雪の庭”があります。
2022年、令和の時代に再興された“雪月花の三庭苑”。『北野天満宮“花の庭”』の復興と並行してこの妙満寺の庭園も(元の庭園の石組はそのままに)改修・修復されたので約4年ぶりに訪れました!
お寺の歴史について。室町時代(南北朝時代)の1389年(康応元年)に天台宗の僧から日蓮宗/法華宗へと改宗した日什により創建。
当初は洛中、現在の烏丸五条(地下鉄・五条駅あたり)にありましたが、応仁の乱をはじめとする戦乱でたびたび焼失〜移転・再建。豊臣秀吉による都市計画により現在京都市役所分庁舎のある寺町二条へと移ると、桃山時代〜江戸時代〜近代の約400年間はその地で親しまれました(“妙満寺前町”の町名も)。
市街地の喧騒から離れ、比叡山を目の前にのぞむ現在地に移ったのは1968年(昭和43年)。京都の数ある寺院の中でも昭和の戦後に伽藍を丸ごと移している稀有な例?移転と共に“雪月花の三庭苑”に関連する『成就院』をはじめとする塔頭も再興、開放的な境内の中にはシンボル的な“仏舎利大塔”も。
本坊の客殿から眺められるのが、“俳句の祖”とも言われる江戸時代の歌人/俳人・松永貞徳が寺町二条に作庭したものをそのまま移した枯山水庭園“雪の庭”。
時の『成就院』の住職・日如上人が貞徳の俳諧の門下であった縁から作庭されたもので、近隣の国指定名勝『圓通寺庭園』と同じく比叡山の借景が美しい。その名の通り雪の日の庭園が最も美しそうですが、春は石組の周りに多くあるツツジ/サツキが花を咲かせて美しい!
近年増加する豪雨に対する排水などのインフラ面と、“松永貞徳の世界観”“庭屋一如”を念頭に実施された2022年の改修。見比べてみると中心の石組の南北に苔と白砂、飛び石がいい感じの庭が拡張されていることがわかる。あと細かな所で手水鉢が変わっていて、“重森三玲風”の直線的な石張の延段がなくなってる。
山門の前をはじめ境内には約3,000のツツジが植えられ、池の中ではカキツバタやスイレン・蓮、桜園など“花の寺”としても知られる妙満寺、この春(5月中旬〜6月上旬)はJR東海の『花咲く京都キャンペーン』の対象寺院にもなり、客殿には“花の間”も。
また近年はスギ・ヒノキの放置林となっていた本堂の裏山を再生する『妙満寺の森 再生』プロジェクトも。それに伴って?本堂周辺にも新たな庭園が作庭されている様子が見えるのであわせてチェックしてみて。
(2018年3月、2022年6月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
叡山電鉄鞍馬線 木野駅より徒歩5分
京都市営地下鉄烏丸線 国際会館駅より徒歩約15分
最寄りバス停は「幡枝」バス停 徒歩2分
〒606-0015 京都府京都市左京区岩倉幡枝町91 MAP