中京テレビ社長/会長もつとめた現代の実業家・石川恒夫の生家。明治時代の近代和風建築と秋には紅葉の美しい回遊式枯山水庭園。
石川家住宅について
「石川家住宅」(いしかわけじゅうたく)は愛知県の名古屋市と豊田市の間にある「みよし市」に残る旧家で、中京テレビの社長・会長や東海銀行の取締役をつとめた実業家・石川恒夫の生家。明治時代末期の近代和風建築と庭園を鑑賞することができます。みよし市指定有形文化財。
2022年8月に豊田市(『豊田市美術館』)を訪れた折にはじめてみよし市を訪れました。お目当ては『みよし市ふるさと会館庭園“鶴駕苑”』ともう一つがこちら。鶴駕苑との距離は1km強(徒歩15分)ほど。
古くから当地の有力農民だった石川家。明治時代の後半、三好村・莇生村・明越村が合併して新たな“三好村”が誕生した際には当時の当主・石川愛治郎が初代村長に選ばれました。石川恒夫さんの祖父にあたります。
そんな石川愛治郎が1910年(明治43年)に建築したのがこの邸宅。道路に面した重厚な長屋門や2つの土蔵(東蔵・西蔵)、広い土間のある主屋玄関…などは豪農のお屋敷といった佇まいだけど、主屋の最奥にあたる座敷は素敵な欄間の彫刻も見られる数寄屋風書院造りの近代和風建築(とそれを囲む庭園)。このお屋敷に隠居所とした愛治郎の文化への想いが感じられる。
ところで、長屋門にしてもアプローチ(前庭)にしても主屋にしても、100年以上経っている割には所々新しさを感じる(良い意味で)。若若しさというか。
昭和年代後半〜平成年代に中京テレビの役員を歴任した石川恒夫さんはこの生家の保存するべく補修・修復や一部の改築を進めていたそうで、状態が良く感じるのはそのため。(色んな実業家の邸宅・庭園を紹介してるけど、現代にテレビ局の会長だった方の邸宅というのは初めてじゃないかな…。)
2011年、石川恒夫さんの没後に土地・建築・調度品・美術品など全てがみよし市に寄贈。市立の歴史民俗資料館として一般公開が開始されました。(また氏が収集した5万冊を超える書籍もみよし市立図書館に寄贈されていて、「石川文庫」と呼ばれています。)
玄関上がって正面に仏間があり、すごく大きな・そして豪華な仏壇があるのがものすごく特徴的…。また寄贈された美術品の中から?この日は上村松篁の作品が床の間に掛けられていた。
そんなお屋敷をL字型に取り囲むように存在する庭園。時代時代によって手を加えられてきているそうなので、開放的な巨石を埋め込んだ前庭は比較的新しいものかもしれないけど。
玄関近くには鑑賞性というより実用性もあった?池泉庭園、そして主屋の周囲には庭門〜伽藍石からはじまる飛び石と白砂が主体の回遊式枯山水庭園があります。
京都の銘石・鞍馬石が一部で見られたりと京都の茶の庭からの影響も感じる一方で(茶室はないけれど)、近いところでは同じ愛知の西尾市の豪農の『旧糟谷邸』の庭園と似た雰囲気を感じる。
庭園にはドウダンツツジが多く植わっていて、晩春には座敷から赤く染まる庭園を眺めることができます。鶴駕苑とあわせてチェック!
(2022年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
名古屋市営地下鉄鶴舞線 赤池駅/名鉄三河線 豊田市駅/愛知環状鉄道 新豊田駅より路線バス「三好上」バス停下車 徒歩2分
〒470-0224 愛知県みよし市三好町上82 MAP