上山藩武家屋敷 三輪家・旧曽我部家

Samurai House Miwake / Sokabeke Garden, Kaminoyama, Yamagata

かみのやま温泉の穴場観光スポット“四軒並びの武家屋敷”。譜代大名・藤井松平家時代の庭園文化を感じさせる武家屋敷庭園群。上山市指定文化財。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

武家屋敷 三輪家・旧曽我部家について

「上山藩武家屋敷」(かみのやまはんぶけやしき)は“奥羽三楽郷”かみのやま温泉に残る上山藩の武家屋敷群。内部公開されている『三輪家』をはじめ、旧曽我部家、森本家、山田家の4軒が武家屋敷通りとして連なっており、それぞれ江戸時代の庭園も残ります(※主庭園が見学できるのは三輪家と旧曽我部家)。

“日本のクアオルト”山形のかみのやま温泉で知られる上山の街は戦国時代の1535年(天文4年)に築城された『上山城』(月岡城)の城下町でもあります。江戸時代に立藩された上山藩は譜代大名の松平家や、高僧・沢庵和尚を京都から受け入れた土岐家らによって治められました。

その当時、城郭の北西部に形成された武家屋敷街に現在残る4軒はそれぞれ約200年前、藤井松平氏が治めた江戸時代後期の建造物。茅葺屋根・鉤型の曲屋・武家中門造りという共通の建築様式と、城下町に引き入れた用水「八幡堂堰」を活かして作庭された池泉庭園を持ちます。いずても上山市指定文化財。
4軒のうち森本家、山田家は非公開なので、ここでは三輪家と旧曽我部家のみ紹介。

■武家屋敷「三輪家」
黒塀が当時の面影を感じさせる三輪家。「四軒並びの武家屋敷」の中で唯一有料公開されている中心的存在。その初代は江戸時代中期に豊前国から出羽国に移り住み、五代藩主・松平信古の時代に家臣となった三輪十郎左衛門重胤。藩主に近しい側用人〜準参政/参政をつとめた武家でした。

その歴史的な建築も素晴らしいのですが、注目すべきはお屋敷の周囲の庭園。前庭も石垣の中に植わった刈り込みや苔が美しく、そして主座敷から眺める池泉鑑賞式庭園もなかなかの大きな規模。

180度に開けた解放的な主座敷からは、右手側(武家屋敷通側)には飛び石や大きな化燈籠があり、左手側に心字池の描かれた庭園が眺められます。モミジやドウダンツツジなど、きっと紅葉の季節は特に美しいはず…。なお三輪家のこの池泉庭園と築山の向こう側には水源が一緒の山田家の池泉庭園が存在する。

■武家屋敷「旧曽我部家」
「四軒並びの武家屋敷」の最も北側にあるのが旧曽我部家。こちらの内部は通常は教育機関として活用されていて、一般の方は周囲のお庭のみ見学できます。
前庭は三輪家と水源を同じくする池泉庭園が、そして建物の裏側には平成年代に新たに作庭された“紫苑庭”があります。

防火目的の用水を利用した武家屋敷庭園群というのは長野・松代群馬・甘楽町と同じスタイルで、それが東北のこの地にあることも興味深さを感じる!
かみのやま温泉駅から見てお城の向こうですが素敵なスポット。山形を訪れた際にはこの武家屋敷群も立ち寄ってみて。

(2023年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR山形新幹線 かみのやま温泉駅より徒歩15分(駅前にレンタサイクルあり)

〒999-3155 山形県上山市鶴脛町1丁目7-46 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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