重要文化財“菅田庵”とともに大名茶人・松平不昧が松江藩家老・有澤弌善に造り与えた茶室。島根県指定文化財。
明々庵について
「明々庵」(めいめいあん)は江戸時代中期に大名茶人・松平不昧公こと松江藩七代目藩主・松平治郷が松江藩家老・有澤家の本邸に造営した茶室。島根県指定有形文化財。現在は松江城から徒歩10分ほどの武家屋敷等が立ち並ぶ丘の上に建ちます。先に紹介した国指定名勝&国指定重要文化財の茶室『菅田庵』とは姉妹施設ならぬ姉妹茶室的存在。
松江藩家老・有澤家について。江戸時代初期の寛永年間、松江藩初代藩主となった松平直政に仕えた有澤織部直玄が初代。
有澤家五代目・有澤弌通は松平不昧公の幼少期に茶道の指南役となり、その子?有澤弌善は松江藩の家臣としてだけでなく不昧に茶道を学ぶ立場に。『菅田庵』と同じく、この明々庵も松平不昧が有澤弌善のために1779年(安永8年)に建立したものとされます。
200年以上同じ場所で残されている菅田庵と異なり、この明々庵は明治維新後は有澤本邸から東京の原宿や四谷にあった松平伯爵邸へ移築。昭和のはじめ、1928年(昭和3年)に松江に戻され『菅田庵』の敷地内に再移築、そして1966年(昭和41年)に不昧公150年祭を機に現在地に再々移築されました。
不昧公も自ら何度か利用されたという茶室。外観が菅田庵と同じ茅葺き・入母屋造で、このデザインが“不昧公好み”だったのかな。入母屋に掲げられている“明々庵”の額は不昧公の筆によるもの。その構造も炉の位置が“向切り”である等の特徴が不昧公好みなんだそう。
庭園およびお抹茶をいただける「百草亭」は移築された昭和中期に作庭・建立されたもの。庭園は菅田庵とは全く雰囲気の違う、いわゆる“出雲流庭園”の枯山水庭園と露地庭が見られます。
街中(観光エリア)にある分、菅田庵よりも明々庵の方が実は観光客多いかもしれないけど…。庭園・茶室を見るならあわせてチェック!
(2020年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR山陰本線 松江駅より約2.5km(徒歩30分・駅周辺にレンタサイクルあり)
松江駅より路線バス「塩見縄手」バス停下車 徒歩4分
〒690-0888 島根県松江市北堀町278 MAP