太宰府駅前の隠れた苔の美しい庭園は、西郷隆盛、大久保利通も宿泊した旧薩摩藩定宿のお庭。西郷と運命を共にした京都『清水寺』の僧・月照の歌碑も。
松屋ガーデンカフェ「維新の庵」庭園について
「維新の庵」(いしんのいおり)は西鉄太宰府駅前、九州を代表する観光スポット『太宰府天満宮』の参道入口にある喫茶店。かつては「松屋」という屋号で宿を営んでおり、江戸時代には薩摩藩の定宿として西郷隆盛・大久保利通らも宿泊。西郷隆盛と縁深い京都『清水寺』の僧・月照の歌碑の残る庭園があります。
西鉄・太宰府駅から参道に入ってすぐ。太宰府名物「梅ヶ枝餅」に列を作る、コンクリート造の平屋建…の奥にちらっと見える緑の空間。見逃してしまいそうなこの庭園、実は西郷や大久保など幕末の志士も眺めたであろう庭園が隠れていました。
RC造の喫茶棟は1987年(昭和62年)の建築ですが、隣接する三階建の和風建築は江戸時代後期に建てられ、後に(1880年・明治13年に)3階建に増築されたもの。喫茶でオーダーすると庭園散策が可能で、苔やモミジの緑広がる庭園から当時西郷が宿泊したと言われる部屋の外観を眺めることができます。
庭園は江戸時代に作庭され、カフェがオープンした昭和年代に大きく改修を経たのが現在の姿で、奥には噴水と花がメインの洋風庭園も。
庭園の一角には西郷隆盛とともに入水自殺をはかった(西郷のみ生き残った)ことで知られる僧・月照上人の歌碑があります。
幕末、尊王攘夷運動に加わったことで「安政の大獄」を逃れるべく京都を離れた月照。薩摩へと向かう途中に太宰府、この松屋にも立ち寄り、その際に主人の栗原孫兵衛に贈った歌《言の葉の 花をあるじに 旅ねする/この松かげは 千よもわすれじ》が碑として残されました。ちなみに入口には清水寺貫主の書による「旧薩摩藩定宿 松屋」の札が掲げられています。
名物が味わえる抹茶と梅ヶ枝餅のセットから、クリームソーダのような暑い夏にほっと一息つけるメニューまで。喫茶しながら西郷、大久保、福岡藩出身の志士・平野国臣の書(の写真)を観覧することも。太宰府参拝の前後に一休みしてみて。
(2024年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)