
室町幕府15代将軍・足利義昭を迎えるにあたって造られたとも言われる、安土桃山時代の豪快な枯山水庭園。
松尾神社庭園について
「松尾神社」(まつおじんじゃ)は東近江市の中心、近江鉄道・八日市駅のすぐ裏手にある神社。境内にある枯山水庭園は安土桃山時代の作庭と伝わり、東近江市指定文化財。その石組の豪勢さと規模の大きさは(クオリティの高い庭園の多い)滋賀県の中でも高クオリティのかっこいい庭園じゃないかと!
松尾神社は聖徳太子によって創建されたと伝わる古刹「瓦屋寺」の別院であった延命山尊勝寺の鎮守社だったと伝わり、最も古い記録では平安時代初期に建御雷神(たけみかづちのかみ)を祀って興ったとされます。
現在の社殿は本殿、拝殿ともに江戸時代後期に建立されたものですが、本殿に安置されていたのを発見された「こけら経」は南北朝時代のものと言われ、近年滋賀県指定有形文化財となりました。
重森三玲が昭和の初期に調査・発掘し、安土桃山時代初期の作庭と認めた枯山水庭園。禅の枯山水ではなく、豪勢な石組による鶴亀島を大きな石橋で渡した「蓬莱式枯山水」と呼ばれる庭園様式で、築庭にあたってはいくつかの伝承がありますが、神社の庭園として造られたのではなくこの地にあった武家屋敷の庭園として造られたものというのが現在推されている説。
室町幕府15代目将軍・足利義昭が京を追われ近江国の佐々木義賢を頼った際に、この地に迎え入れるにあたって義賢の命で築庭されたと言われます。またこの庭園の作庭手法や年代が、同じく足利義昭が頼った朝倉義景の「一乗谷朝倉氏遺跡」の特別名勝の庭園群と似ていることから類推されたものとのこと。
その類推がもし正しければより価値が出てもおかしくないのだろうし、名園の多い滋賀県の中でもあまり似ている庭園が無いので――一見の価値あり!季節によってはもう少し苔の緑が映えて見えるかな?
先述の「瓦屋寺」や「太郎坊宮」含めまた訪れたい!
(2019年3月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)