“現存十二天守”国宝・松江城を借景とする雲州流枯山水庭園。千利休が造営に関わったと伝わる安土桃山時代の茶室も。
松江歴史館庭園について
「松江歴史館」(まつえれきしかん)は国宝&現存12天守『松江城』のすぐ東、大手前の広場から徒歩2〜3分の場所にある歴史博物館。枯山水の日本庭園や千利休が造営に関わったと伝わる茶室が移築されており、見学することができます。外観を構成する『松江藩家老朝日家長屋』は松江市指定文化財。
2020年秋に9年ぶりに訪れた松江市の庭園巡りで初鑑賞。江戸時代には松江藩の家老屋敷が立ち並んでいた場所に2011年3月に開館したこのミュージアム、施設のメインである展示室では城下町・松江の成り立ちやその発展の歴史、松江藩に伝わる美術品や名刀、松江藩主&大名茶人・松平不昧公ゆかりの茶道具などを鑑賞することができます。
歴史館の外観は上級武家屋敷をイメージして作られたものだそうですが、敷地内には実際に松江藩・松平家の重臣だった朝日家の長屋門も残されています。松江松平家の初代・松平直政の時代から召抱えられていた朝日家。この長屋門は明治維新後も場所を変えずに残り続けた貴重な江戸時代の建造物で、歴史館の開館にあたっては後年に改築されていたところから江戸時代後期・天保年間当時の間取りに復原されました。
その長屋門と歴史館内の休憩スペース(喫茶きはる・暮らしの大広間)の間に日本庭園があります。山水風景を表現しながら、マツを主木として砂地には飛び石を配した回遊式の枯山水庭園、まさに“出雲流庭園”(雲州流庭園)といったスタイル。真正面から見ると借景に松江城天守が!
↑この要素をなんとなく造形的に“出雲流庭園”と捉えていたけど−−飛び石の高さはおおよそ地面から6cm〜9cmと他地域より高く据えられているのも一つの特徴で、これは雨や雪の時(積雪する地方だから特に“雪”と思ってよさそう)に歩きやすくするため−−と推測されています。設計および工事監理監修をつとめたのは島根庭園協会・角隆司さん。
そんな風に庭園は新しいですが、もう一つ見逃せないのが“伝利休茶室”。松江市の西部・宍道の国指定重要文化財『八雲本陣(旧木幡家住宅)』に移築されたのち解体・保存されていた茶室を、茶室研究家の大家・(故)中村昌生さんの監修のもと再建したもの。
安土桃山時代に造られた松江に残る最も古い茶室。もともとは千利休が初代松江藩主・堀尾吉晴のいとこ堀江但馬に譲った説/秀吉の重臣・福島正則が千利休の指導のもと建てたという説がある茶室(加藤清正が招かれたことも。)で、戦国大名・京極家に仕えて松江藩家老になった大橋茂右衛門が松江に移築。幕末まで大橋家が所有し、明治時代に木幡家に移築。明治30年以降は長年解体保存されていました。
この茶室もイベント等で活用されているそうです。いつか上がってみたい。
松江歴史館のチケットで隣接する『松江ホーランエンヤ伝承館』にも入場できます。伝統的なお祭り好きはこちらもチェック。
(2020年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR山陰本線 松江駅より徒歩25分
一畑電車北松江線 松江しんじ湖温泉駅より徒歩20分強
松江駅より路線バス「塩見縄手」「北殿町」「北堀町」バス停下車 徒歩2〜3分
〒690-0887 島根県松江市殿町279 MAP