国指定名勝「延暦寺坂本里坊庭園」で最大の広さをほこる、逆さ紅葉と苔の美しい池泉回遊式庭園と近代和風建築。
延暦寺坂本里坊庭園・旧竹林院庭園について
国指定名勝『延暦寺坂本里坊庭園』の代表的な庭園であり、非公開庭園が多い坂本の中で通年で公開されているのが「旧竹林院庭園」(きゅうちくりんいんていえん)。苔と八王子山の借景が美しい池泉回遊式庭園。
これまで訪れたのは1月と5月とだったのですが、秋には坂本全体が美しい紅葉の名所になる――と聞いていつか秋に訪れたいと思っていました。結果的に2019年1月以来の再訪!人でごった返す京都と比べて程々の賑わいでとても良かった――そして今回は逆さ紅葉のリフレクションも(笑)
比叡山の麓である大津市坂本は古くから比叡山延暦寺の門前町として栄え、その穴太衆による石垣が美しい坂本里坊の町並みは「坂本伝統的建造物群保存地区」として国の重要伝統的建造物郡保存地区となっています。
一帯には現在も50以上の寺院が残りますが、そのほぼ全てが織田信長による“比叡山焼き討ち”の後に再建されたもの。
この「竹林院」も江戸時代までは延暦寺の里坊寺院でしたが、明治維新後の廃仏毀釈により廃寺に。その後資産家の手に渡った際に、江戸時代初期に作庭された庭園を元に現在の姿に改修されました。確かに他の里坊庭園『律院庭園』、『滋賀院門跡庭園』と比べると、こじんまりした寺院の庭園――というよりは近代の別荘・別邸のような回遊式庭園といった趣きで、その3,300平方メートルという面積は里坊庭園の中で最大。
その他、明治時代に建てられた近代和風建築の主屋や大正時代に建てられた茶室・四阿が大津市指定有形文化財となっています。主屋の2階からの眺めや、回遊式庭園からの主屋の眺めなど、新潟の国指定名勝『旧齋藤家別邸』が雰囲気すごく似ていると思う。
なお「坂本里坊」は延暦寺で修行を終えた老僧が現役を退いた後に過ごす場所、といった性質があったそう。これまで見た里坊庭園が全て池泉式庭園であるということ考えると――ストイックな庭園ではなく、植栽含めて日常の癒やし空間・芸術品としての庭園という側面があったのかなあ、なんて想像させられます。非公開庭園が多いけど、例年GW前後に2〜3箇所が特別公開。
(2015年5月、2019年1月・11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)