京都の世界遺産寺院の奥で佇む紅葉の名所庭園。豊臣秀吉“醍醐の花見”ゆかりの金堂など国宝建造物も。
醍醐寺庭園“無量寿苑”について
「醍醐寺」(だいごじ)は世界遺産“古都京都の文化財”に構成される、京都を代表する寺院の一つ。真言宗醍醐派総本山。『醍醐寺三宝院庭園』が“庭の国宝”国の特別名勝となっているほか、三宝院・金堂・五重塔など国宝の建造物も有します。西国三十三所第11番札所。
2021年11月に約5年ぶりに訪れました。太閤・豊臣秀吉が最晩年に行った宴“醍醐の花見”でも知られ、桜スポットでもありつつ、紅葉の名所としても人気。前回は12月で少し紅葉が残っている…という感じだったけど、今回は紅葉の見頃に!
その歴史は平安時代にさかのぼります。874年(貞観16年)に聖宝理源大師により創建。醍醐寺は山のふもとの“下醍醐”と、そこから1時間ほど登った山の上にある“上醍醐”の2つのエリアに分かれており、当初建造物が完成したのは上醍醐。上醍醐にも国宝の「清滝宮拝殿」「薬師堂」が残ります。(まだ登ったことないから、次回登ろう…)
そののち醍醐天皇による勅願寺となり下醍醐も整備がスタート。広大な境内の中で現存する国宝の五重塔は951年(天暦5年)に建立された“京都最古の木造建築”で、醍醐天皇の菩提を弔うためにその子の朱雀天皇により起工、更にその次代の村上天皇の時代に完成。(内部の壁画も国宝指定)
鎌倉時代〜室町時代にかけては途中応仁の乱で五重塔以外を焼失する憂き目に遭いますが(国指定重要文化財「清瀧宮本殿」はその後の再建)、桃山時代に豊臣秀吉により信仰され先述の“醍醐の花見”をきっかけに再興。国宝の「金堂」は醍醐の花見のために和歌山の湯浅から移築されたもので、建立されたのは平安時代後期。
そして現代には世界遺産へ…と順風満帆に思える醍醐寺も、明治時代には廃仏毀釈や上知令という逆境の時代へ。そんな近代に醍醐寺を支えたのが実業家/茶人・山口玄洞。紡績業・金融業などで財を成した氏は『神護寺』など他の歴史的寺院にも伽藍を寄進していますが、醍醐寺もその一つ。
紅葉スポットとして人気の庭園“弁天池”に建つ弁天堂や、そのほとりにある和カフェ“寿庵”(阿闍梨寮)は山口玄洞の支援の下で1930年(昭和5年)に建立されたもの。弁天池自体はもっと以前よりあったのかな…という雰囲気があるけど、現在の姿に整備されたのはその時かな。
“弁天池”の上部にはその水源となる滝と流れの庭園“無量寿苑”があります。こちらも頭上は紅葉に覆われていて、地面を這う苔庭と相まって美しい空間を演出。更にその先に上醍醐へと続く山道があります。
なお建造物以外の、約7万点(!)の国宝を含む約15万点の文化財は『霊宝館』(宝物館)に所蔵、毎年春と秋に一部が一般公開されています。
上醍醐まで行かず、下醍醐だけでもたっっっぷりと歴史・文化にふれられる醍醐寺。市内中心部の世界遺産寺院と比べると密じゃなく開放的でゆったり見られるのもまた良いところ。次回は上醍醐にも!
(2016年12月、2021年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
京都市営地下鉄東西線 醍醐駅より徒歩20分
JR山科駅・六地蔵駅より路線バス「醍醐辻」バス停下車 徒歩10分
〒601-1325 京都府京都市伏見区醍醐東大路町22 MAP