国重要無形民俗文化財「幸若舞」を生んだ幸若家の屋敷に江戸時代中期に作庭された回遊式築山林泉庭園。
幸若遺跡庭園について
「幸若遺跡庭園」(こうわかいせきていえん)は敦賀市指定名勝となっている池泉回遊式庭園。現在はJR敦賀駅から徒歩10分程の場所にある「天理教越乃國大教会」の敷地内にあります。
敦賀駅に観光パンフレットに並んで置かれてた「敦賀の文化財」という冊子で存在を知ったのですが、市役所のサイトにこれが市指定名勝である記述がある以外は公式の情報が無い…。説明板に沿って書きます。
「幸若」とは室町時代中期、桃井直詮の創始による「幸若舞」を受け継いでいた家系で、直詮の幼名が「幸若丸」だったことがその由来。幸若家は当初は越前国・朝倉孝景により保護され、江戸時代には徳川将軍家に保護を受け、儀式の際に奉仕していたそう。
江戸時代の中頃、敦賀の諸鶴太夫という舞の一家が断絶したことをきっかけに幸若家分家の久次郎にその土地が分け与えられ、幸若家は敦賀に移住。
その屋敷内に江戸時代中期に作庭されたと伝わる回遊式築山林泉庭園は武家屋敷の庭園として築庭され、当時は天筒山を借景としていたそう。現在は「天理教越乃國大教会」の大きな本堂によりその眺望は望めませんでしたが、正面の築山や石組、そして池周辺の護岸の石組や石橋からは古庭園の面影が十分に感じられます。自由見学だったので、国名勝の『西福寺書院庭園』や『柴田氏庭園』とあわせてどうぞ!
ちなみに教会の境内、道路沿いにもなにか庭園の築山と石組らしいものが。最初はこれが幸若遺跡庭園の遺構なのかと…。写真には写っていないけど芝生広場のようになっているので、地元の子供が野球をやっていた(笑)
なお「幸若舞」は現在は福岡県みやま市にのみ伝承されており、国の重要無形民俗文化財に指定されています。「三英傑」織田信長、豊臣秀吉、徳川家康も好んだというこの舞。この庭園以外にも「幸若家」ゆかりのスポットは敦賀に残るようなので――北陸新幹線開業後のイベントで敦賀に招聘されたりしたら面白いのかもなあ。
(2019年3月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)