廣誠院

Sfera×WEEKENDERS COFFEE「コーヒーセレモニー at 廣誠院」

京都の通常非公開の寺院を舞台とした『コーヒーセレモニー at 廣誠院』。明治時代の実業家・伊集院兼常こだわりの数寄屋建築で文化財庭園を眺めながら特別なコーヒーを。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

「コーヒーセレモニー at 廣誠院」について

【「廣誠院」の特別拝観は撮影禁止】
2022年11月23日に行われたSfera主催、Sfera x WEEKENDERS COFFEE『コーヒーセレモニー at 廣誠院』を訪れました。会場となった「廣誠院」は通常非公開の寺院。廣誠院の特別拝観時は撮影禁止ですが、『コーヒーセレモニー at 廣誠院』に限り撮影可・投稿可と許可の上、写真を紹介させていただきます。
(WEEKENDERS COFFEEは以前友人からオススメいただき訪れたことがあったので、まさかこの様な場所でイベントがあるなんて…!)

かつて山縣有朋が“第二無鄰菴”を構えた『高瀬川二条苑』の斜め向かい、高瀬川の始点に残る史跡「一之船入」界隈の路地裏にたたずむ「廣誠院」。現在は臨済宗の寺院ですが、その建築は旧薩摩藩士で明治時代には実業家として活躍した伊集院兼常の邸宅として1892年(明治25年)に建立されたもの。その近代和風建築は京都市指定有形文化財、庭園が京都市指定名勝となっています。

伊集院兼常…と言えば同じく京都の非公開の別荘建築『對龍山荘』→こちら)の施主。この廣誠院は對龍山荘の前に建築されたもので、高瀬川二条苑から東山の『無鄰菴』へ移った山縣有朋の後を追うように伊集院兼常も南禅寺界隈の『對龍山荘』へと移りました。

宮家の御殿やかの『鹿鳴館』の造営にも携わるなど、建築系の事業で活躍した伊集院兼常。そんな伊集院がこだわり抜いた空間…造営当初から変わらない庭園と書院・広間・庭園にせりだす茶室はまさに“庭屋一如”。(そしてこの数寄屋空間と今回のコーヒーセレモニーのアイテムの組み合わせ、しつらえもとても素晴らしかった!)

伊集院の後は滋賀出身の実業家/貴族院議員・下郷傳平の所有を経て、住友財閥初代総理事・広瀬宰平の長男・廣瀬満正の所有に。
自らも実業家や貴族院議員として活躍した廣瀬満正。その没後に満正の遺志を継いだご夫人・歌子が「財団法人廣誠会」を設立。昭和年代に臨済宗の単立寺院となり現在へと至ります。

なお広瀬家の所有となった後に邸宅は一部改修されていて(仏堂など)、そこには愛媛・新居浜の国重要文化財『旧広瀬邸』や滋賀の伊庭貞剛旧邸『住友活機園』も手掛けた住友財閥ゆかりの数寄屋建築家・八木甚兵衛が関わっているとか。なお茶室の入り口にかけられた松平不昧筆の“環翠”の額は下郷傳平によってこの地に残されたもの。

庭園は建築の南側に位置します。書院の大きなひさし越しに眺める池泉庭園で、庇に誘導される目線の先には緑色片岩(青石)で組まれた滝石組が。この日はあいにくの雨でしたが、雨に濡れて紅葉がより鮮やかさを増して美しかった…!(紅葉の絨毯も色鮮やかに)

イベント時は建築内からの鑑賞のみですが、隣を流れる高瀬川から水を引き入れている池泉回遊式庭園で、高い位置から見下ろす建築や水流すれすれの大きな石橋など、『高瀬川二条苑』との関連性も感じます。
伊集院兼常は施主として七代目小川治兵衛(植治)の庭造りに影響を与えた一人で、この庭園に植治が関わった確証はないものの、後に植治の庭園に見られる類似性も一部(手水鉢に)あるとか。(なお高瀬川二条苑は植治)

護岸石の間から姿を現しているもみじもまさに“無作為の作為”。素敵な場所で美味しいコーヒーと和菓子。最高の空間でした。次回のコーヒーセレモニーにも訪れなきゃ…。

【2023年1月追記】
2023年、廣誠院の境内に『宿坊KANETSUNE』『食堂ICHIFUNE』がオープン。宿坊は1年間で100組限定で、なんと建築家・伊東豊雄さんの監修…!詳しくは公式サイトをご覧ください。
⇨京都市中京区|非公開寺院にある雅なプライベート空間 – 宿坊 KANETSUNE

(2022年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

京都市営地下鉄東西線 京都市役所前駅より徒歩3分
京阪本線 三条駅より徒歩5分
最寄りバス停は「京都市役所前」バス停 徒歩3分

〒604-0924 京都府京都市中京区河原町通二条下ル東入ル一之船入町538 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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