
五摂家の筆頭・近衛家の屋敷“桜木御殿”をルーツとする庭園と、京都御苑の桜の名所として有名な糸桜・枝垂れ桜。
近衛邸跡庭園について
「近衛邸跡」(このえていあと)は『京都御苑』の最北部、公家の最上級“五摂家”の筆頭・近衞家の屋敷跡。現代でも京都の桜の名所である“近衛邸跡の枝垂れ桜(糸桜)”のほか、安土桃山時代の石組が残るという“近衛池”を中心とした池泉回遊式庭園が残ります。
京都御苑には何度も訪れているのに、そう言えばちゃんと見たことがなかった――と近衛邸跡の庭園を最初紹介したのが2019年の春。それから毎年糸桜を見に訪れてはいたのですが、2022年の冬の期間にそれまで長年荒廃していた近衛邸跡庭園の修復工事が実施されて綺麗になっていた!整備前・後の写真を交えて紹介。
近衞家は平安時代の“藤原家”へとルーツを遡る公家であり、五摂家の一つとして江戸時代末期まで多くの摂政・関白を輩出。近代以降でも近衛文麿が戦前・戦後に内閣総理大臣を務めたことでも知られます(ちなみに東京・荻窪には近衛文麿の邸宅跡『荻外荘』の名を冠した公園があります)。
明治天皇が東京に移るまでの天皇家の居住場所だった内裏(『京都御所』)のすぐ北に立地している点からも公家としての格式の高さを感じる。
明治維新後は近衛家も東京へ転居。その御殿は小松宮彰仁親王や山階宮晃親王の別邸として使用された後に廃されることになり、当時の建築のうち大玄関が京都『東福寺』塔頭の『勝林寺』に、御殿が奈良『西大寺』に、書院・茶室が(京都市内の別の場所を経て)愛知県西尾市に移築。西尾の施設は『旧近衛邸』として一般公開されています。
そして庭園のみ残された姿が現在の“近衛池”。2019年~2021年時点では池の周囲~背後の樹木が鬱蒼としていたし、水のない池底も長年の落葉で土が堆積してる様子が見て取れたけど、2022年の修復工事でだいぶ綺麗な感じに整った!今後は水も張っていくのかな。
そして何と言っても桜。約60本ある桜は京都御苑では最も早く咲き始める桜とされ、毎年地元の方・観光客、多くの方が訪れるフォトスポットに。江戸時代この場所にあった近衛邸も通称は“桜木御殿”で、当時訪れた孝明天皇も以下の詩が詠まれました。
「昔より 名にはきけども 今日みれば むべめかれせぬ 糸さくらかな」
2019年春に訪れた時は、半年前の2018年の大型台風の後の被害からの整備が追いつかず立入禁止エリアもあった近衛池周辺。歴史ある公園の管理は大変さも知ってもらいつつ、整備された庭園の姿を今後ぜひ楽しんで。
(2019年3月、2020年3月、2022年3月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
京都市営地下鉄烏丸線 今出川駅より徒歩5分
京阪本線 出町柳駅より徒歩15分
最寄りバス停は「烏丸今出川」バス停 徒歩5分
〒602-0881 京都府京都市上京区京都御苑 MAP