康国寺庭園

Kokokuji Temple Garden, Izumo, Shimane

“大名茶人”松平不昧のお抱え庭師であり出雲流庭園の祖・沢玄丹が作庭した、借景の美しい枯山水庭園。

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康国寺庭園について

「大雲山 康國寺」(こうこくじ)は南北朝時代の1322年(元亨2年)に三光国師を開山として創建された臨済宗妙心寺派の寺院。江戸時代後期、7代目松江藩主で大名茶人としても有名な松平不昧公のお抱え庭師・沢玄丹により作庭された枯山水庭園はアメリカの日本庭園専門誌のランキング『しおさいプロジェクト』で毎年トップ50にランクインしています。

2020年11月、約4年ぶりに島根県へ。島根は行きたい場所(主に文化財庭園)が駅から遠い・公共交通機関では行けない所が多い…ということで、雲州平田でスクーターをレンタルして安来~松江~出雲市間の庭園を30箇所ほど巡りました。こちらは『平田本陣記念館』と同じく雲州平田駅から比較的近い(レンタサイクル圏内)。

開山となった三光国師(孤峰覚明禅師)は同じ出雲国では安来の『雲樹寺』を開いています。寺名は建立にあたって寄進した当地の豪族・三沢康国公より取られたもの。江戸時代中期の天明年間に拙庵禅師により中興され、そしてその後を継いだ9代目・韜光禅師の時代に現在の庭園が整えられました。

一見すると“旅伏山の借景の美しい枯山水庭園”という言葉になるのだけど――拙庵禅師が茶の湯に対する造詣が深く、茶室“博淵亭”を建立し庭園も構想していたという背景を考えると、この庭園も“お茶のための庭”なんだろうなぁと。

松平不昧公が康国寺に訪れた史料はなく言い切れないらしいけど、不昧のお抱え庭師・沢玄丹(沢一更)がこの寺を訪れたのはきっと茶の湯がらみだろうし――この庭園で見られる鑑賞式の禅の庭と茶庭のハイブリッドが、後に“出雲流庭園”と呼ばれるジャンルの特徴で。完成まで1830年(天保元年)から3年半もかかったというのだからだいぶ試行錯誤したんだろう。

書院から眺めて右手に見える庭門側からの飛び石は茶室へ向かうためのもので、重要なビューポイントの一つなのではと思う。もう一つ重要な景観である貯水池(錦鏡池)については、いつからあるかはこれまた史料がなく不明。

そして欠かせないのは綺麗に整えられた刈込。今回見た出雲地方の庭園は本当によく手入れされた庭園ばかりで“出雲地方は庭園文化が根付いてる”と実感――この庭園はその起源の一つ。滋賀県の鈍穴流の庭園みたく県指定名勝ぐらいにはなってもおかしくない。またいつか訪れたい!

(2020年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

一畑電車北松江線 雲州平田駅より約3km(駅にレンタサイクルあり/徒歩35分)
一畑電車北松江線 旅伏駅より徒歩20分
雲州平田駅より路線バス「徳雲寺前」「徳雲寺橋」バス停下車 徒歩8分

〒691-0011 島根県出雲市国富町1301 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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