葛城北の丸庭園Katsuragi Kitanomaru Japanese Garden, Fukuroi, Shizuoka

F・L・ライトに学んだ建築家・一ノ宮賢治の手掛けた和風建築と、フィリップ・トルシエも愛した日本庭園。

庭園ギャラリーGarden Photo Gallery

葛城北の丸 日本庭園について

「葛城北の丸」(かつらぎきたのまる)はヤマハリゾートが運営する高級旅館。北陸地方から移築された古民家を活用した客室の前には広大な日本庭園が広がります。

その存在を知ったのは2002年のW杯で、サッカー日本代表の合宿地に指定されたことから。トルシエ監督が《日本庭園と旅館のような和の空間を気に入った(リラックスできると判断した)》から選ばれたーーと認識していますが、思えばこのエピソードが初めて『ああ、日本を訪れる海外の方はそういう場所を好むんだな』と思ったエピソードな気がします。

静岡県西部の庭園をこれまで色々紹介してきたけど、そういえば行ったことないな…(高級旅館に泊まる動機がないからな…)と思ってたのがこの葛城北の丸。行ってみたいなあ…という話をしていたら縁あってご案内いただけることに!なお2019年にはラグビーワールドカップで日本代表と戦った強豪・アイルランド代表の宿泊地にもなりました。

遠州森町の南東の高台にある葛城北の丸。出迎えてくれるのは立派な郭松門!これは菊川市に残る国指定重要文化財『黒田家』の長屋門を再現したもの。またそこへと至る敷石は旧・清水市でかつて使われていた路面電車の敷石を用いたもの。 北の丸の建築は1978年(昭和53年)。当時のヤマハの会長・川上源一さんの構想により、建築家・一ノ宮賢治により手掛けられました。

さん。初めて名前を知りましたが、黒川紀章フランク・ロイド・ライトの下で学び、国内ではつま恋などその他のヤマハリゾートの建築も手掛けられている方。この日本庭園の作庭者は不明なのですが、一ノ宮さんの実績の中に佐賀『慧洲園』の“みふね茶屋”があるのが気になるぞ……慧州園の作庭は中根金作。遠江で繋がるけど…。

またその当時はダムの開発などで古民家の多くが失われる時代。その貴重な建造物を活かせないかという川上の発案の下、北の丸を構成する椿殿・桜殿・萩殿などは北陸から移築した古民家を活かした建築になっています。また大広間“桐殿”は京都の世界遺産『二条城』の書院を模した造り。
そして建物内にも露地庭があったり、客室や大浴場(湯殿)へと向かう回廊からも和風の中庭を楽しめます。

そんな客室に面した広大な北の丸庭園は一面の芝生の中に池泉・マツや刈り込みを配した回遊式庭園。なお今回ご案内いただいたのが2月だったので紹介する写真の庭園の写真はご提供いただいたもの。
そして建物前に広がる庭園、これもまだ敷地の一部で。庭園奥の散策路へ進んでムササビ橋という橋を渡っていくと、1万本の躑躅が植わっているツツジ苑や花木苑があり四季の花々を楽しむことができます。あと“離れ”の前には紅葉が見所の庭園があるみたい…こちらもいつか見てみたいな。

さすがヤマハだな!と思うのは『宿泊者専用、ヤマハ最高級モデルが体験できるオーディオルーム』があるという所。昨年〜今年にかけてピアノジャズトリオ・H ZETTRIOがこの部屋でMVを撮影、ライブイベントも行われたそう。H ZETTRIO、もちろん野外フェスで見てますからね…最高じゃんそれ。サインも置いてありました。

そしてヤマハと言えば「なんでもやる会社」。北の丸で使われているファニチャーは、ヤマハ製。ヤマハって家具もやってたんだ、知らなかった…。これも『ピアノに使えるかも』と買い求めた良質の銘木が、結果的に家具事業に用いられたという。
なんかヤマハを褒めてるみたくなっちゃったけど、つま恋にも幾度と通い磐田のサッカークラブを推してる自分としてはごく当たり前のことなのでその辺は差し引いていただきつつ。次回は泊まりに訪れたい!

(2020年2月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

天竜浜名湖鉄道 遠州森町駅より約4km(駅にレンタサイクルあり/北の丸までは超上り坂)
遠州森町駅・JR袋井駅より路線バス「観音寺」バス停下車 徒歩25分強

〒437-0121 静岡県袋井市宇刈2505-2 MAP

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