この地で採れる神宮寺石の巨石“亀石”や武者小路千家『官休庵』を模した庭門が見所の明治時代の庭園。
茶庭亀石庭園について
「茶庭 亀石」(ちゃていかめいし)さんは諏訪大社上社本宮の表参道沿いにある茶房で、明治13年創業・130年を歴史を持つ石材店『石栁北原』さんの自宅で開かれているお店。店内から眺められる池泉回遊式庭園は石栁北原さんの創業時、明治初期に作庭されたもの。
茅野の藤森照信の茶室群『フジモリ茶室』とあわせ、諏訪大社上社本宮にも2年ぶりに訪れました!このお店に庭園があるなあ…と思ったのは、今年の春に上社本宮に隣接する『法華寺庭園』のエントリを書いていた時。(ちなみに法華寺も再訪したのですが、石栁北原さんが石積の工事をされている所でした)
法華寺の中でも書いているけれど、上社本宮の参道は明治以前は寺院が立ち並んでいたそう。現在の庭園はかつてここにあった寺院の庭園がルーツになっている…というわけではなさそうだったけど、全く関係性が無いというわけではないかも。なお庭園の背後の山はかつて『神宮寺』の境内で、庭園の遺構である心字池が残る――のですがこれはまた別に紹介。
茶庭亀石さんは石材屋さん自らが手掛けられている庭園ということで、池泉の中心に浮かぶ“亀石”や自然石による灯籠、蹲居など、使われている岩にこだわりが見られます。亀石も一切削っておらず山から取れたそのままの自然石なのだからすごい!このゴツゴツしたかっこいい岩はいずれもこの裏山からかつて採れていた“神宮寺石”と呼ばれるもの。また庭門は武者小路千家の“官休庵”の庭門を模して作られたものです。
許可を取って高台の四阿まで登らせてもらったのですが(眺望は勿論◎)、その間もニコニコとご主人が庭を眺めておられて。色々とこの庭で使われている石についてお話してくださって――この庭もまた愛されている庭なんだなあと感じることができてとても楽しかった。
そして奥様は先の『フジモリ茶室』でお茶の先生としても入られているそうです。低過庵の中の話やお茶会のエピソードもお聞きできてそれも楽しかったし、そんな方のお抹茶を頂けるお店でもあります(あとこの日は暑い日だったので寒天が美味しかった!)。市は変わるけどフジモリ茶室からは徒歩10分ちょっとと割と近い。併せてどうぞ!
(2019年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR中央本線 茅野駅より約3km(駅及び駅近くのホテルにレンタサイクルあり)
上諏訪駅より路線バス「上社」バス停下車 徒歩5分
〒392-0015 長野県諏訪市大字中洲神宮寺834 MAP