東光園庭園Kaike-Onsen Tokoen Garden, Yonago, Tottori

菊竹清訓によるメタボリズム建築の集大成。世界的彫刻家・流政之が作庭した庭園も貴重な皆生温泉の老舗旅館。

庭園ギャラリーGarden Photo Gallery

皆生温泉 東光園について

「皆生温泉 東光園」(かいけおんせん とうこうえん)の本館“天台”は戦後日本を代表する建築家のひとり・菊竹清訓の代表作や自身の提唱した“メタボリズム建築”の集大成としても挙げられる建築。2017年に国登録有形文化財に。そしてその庭園は世界的彫刻家・流政之により作庭されました。

皆生温泉の老舗宿の一つ。2016年8月に初めて訪れた時は、宿泊予約サイトで当日直前で4,000円とかで予約できて…今回はさすがにそんな破格の値段ではなかった(倍以上)けれど、山陰へ行くなら絶対また訪れたい!!と思って2020年秋の山陰旅行では再び東光園で一泊しました。

1964年竣工の東光園本館“天台”。出雲大社や神社の鳥居をモチーフにデザインされたというその建築、テクニック面のことはよくわからないけど『7階建てなのに、5~6階は吊る構造になっているのがすごい』。世界で最初で最後と言われる様式になっていて、現代日本を代表する建築家のひとり・伊東豊雄は菊竹清訓設計事務所時代に関わったこの建築について《世界の建築も含めて、自分の生涯のなかで最もインパクトのあった建築》と評しています。
4階部分のピロティが空中庭園となっていて、地上部分の庭園だけでなく“伯耆富士”大山や日本海をのぞむことができます。

そして約3,000坪という池泉回遊式庭園を手掛けたのは流政之。名前を記すのは初めてですが、イサム・ノグチ、ジョージ・ナカジマらと同じく香川県高松市の牟礼の方に拠点を置き、日本のみならず世界貿易センタービル(ニューヨーク)をはじめ世界にその作品を残している世界的彫刻家。ここだけでなく、後日香川県の『四国村』で氏の手掛けた別の庭園を拝見しました。

初めて訪れた時は「日本庭園あるじゃん」ぐらいにしか思っていなかったのですが、今回ちゃんと回遊したらその造形がめちゃくちゃ面白くって…大枠は“池泉回遊式日本庭園”に見えるけど、滝石組や護岸石のデザインがアート。モダン。めちゃくちゃかっこいい。

主庭は“天台の庭”、そして空中庭園が“風の庭”。その他“捨ての庭”“里の庭”“郭の庭”“雲の庭”“染めの庭”の7つを「東光園の七庭」と称します。このうち“雲の庭”“染めの庭”“郭の庭”は大浴場・露天風呂から見られるお庭。大浴場の石組や柱木もめちゃくちゃ迫力あります。食堂の竹庭が“捨ての庭”だったっけな…。

なお、現在見られる庭園は二代目。流が日経新聞で連載した『私の履歴書』によると、“天台”ができる以前から流政之は東光園に(彫刻作家としての活動の傍ら)逗留。大浴場の改修の相談に乗ったら更に造園も頼まれ、樹木の名前がわからないながら地元の植木屋と協力し作庭。

庭園が出来上がり一時は雑誌にも“名園”と評価されたものの、本館の新築にともない庭園は建物に包囲。借景のない庭になってしまい――現在は名建築と言われる本館でも完成した頃は客足が遠のいたそう。その結果、流の庭園が復旧されることに。新館に対して恨みつらみの流、でも東光園と菊竹を紹介して引き合わせたのは流自身だったり。

築50年以上経ったこのコンクリート造り建築を維持するのは本当に大変だと館内を歩いてて感じるし、庭園も決して万全の状態ではないんですけど――“名建築として”だけでなく、“名建築に相応しい、斬新でクリエイティビティあふれた現代日本庭園がある”ことの価値が広まって、より宿泊者が増えたらいいなと思う。存在する限り一生泊まりにいきたいホテル。

(2016年8月、2020年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR山陰本線・伯備線 米子駅より路線バス「皆生温泉観光センター」バス停から徒歩6分
JR米子駅より約5km(駅にレンタサイクルあり)

〒683-0001 鳥取県米子市皆生温泉3丁目17-7 MAP