国の重要伝統的建造物群保存地区“うきは市筑後吉井”で唯一江戸時代から残るお屋敷と耳納連山を借景とした庭園。
鏡田屋敷庭園について
「鏡田屋敷」(かがみだやしき)は国の重要伝統的建造物群保存地区“うきは市筑後吉井”に残るお屋敷。近代の商家建築が立ち並ぶ町並みの中で唯一江戸時代から残る歴史的建造物で、観光施設のひとつとして一般公開されています。うきは市指定文化財。
2022年2月の福岡遠征、今回は庭園じゃなくて町並みへ…と思い6年半ぶりに筑後吉井の町並みへ。先に紹介した『原鶴温泉 泰泉閣』の最寄駅がこの筑後吉井というのもあり。(距離で言えば3km程。でも路線バスが無いので往路は徒歩で…)
かのタモリさんがふるさと大使も務めるうきは市。JR筑後吉井駅から徒歩10分ほど歩くと重厚な商家造りが立ち並ぶ重伝建の古い町並みが現れます。
江戸時代には城下町・久留米と天領・日田を結ぶ“豊後街道”の宿場町として栄えた筑後吉井。そんな吉井を明治2年に大火が襲い、現在見られる町並みは明治以降の近代に整えられていったもの。
駅から見てその町並みに最奥部にあるのが鏡田屋敷。屋敷の正面部は幕末の1863年(文久3年)に建てられたものが残り、お屋敷の北部分(広間・座敷)は1893年(明治26年)に増築され郡役所の官舎として用いられました。
明治時代後期に現地の郵便局長を務めた佐藤氏が居住した後、昭和初期から籠田氏が居住。その籠田氏も筑後吉井を離れ、平成3年の台風被害を契機に取り壊されそうになった所、平成年代の町並み保存の一環でうきは市に寄贈され修復、公開が開始されました。
大広間・中広間はそれぞれ庭園に面していて、中広間からは正面に耳納連山の借景をのぞむことができます。その庭園はカーブを描く水路を中心に置いた池泉回遊式庭園――なんだけど、“庭園のための水路”というよりは“生活のための水路を庭園の一部にしている”ような形。
先に紹介した『居蔵の館』の枯流れもおそらく元はそのような庭園で、有名な所では京都の南禅寺界隈や長野の松代の城下町のような“水を共有した庭園”カルチャーがこの吉井にもあったんじゃないかなあ。(そして多分それは火災に備えたものでもあったのだと思う)
このような、邸宅の周囲を庭園・土蔵・塀で囲む“屋敷型建造物”は各地域では珍しいわけじゃないけど、この重伝建・吉井では唯一の作りなのだそう。今回は真冬で庭の見頃の季節ではなかったけど、水路の脇に植わっている紅葉が秋にはきっと美しいはず…!
ところで久しぶりに訪れた筑後吉井、古民家を活用した若者向けのオシャレなカフェや本屋さんがあったのがとても印象的だった。京都で言うところの左京区浄土寺みたいな…。歴史的な街を“小京都”と言うことは多いけど、そうしたカルチャーっぽいお店が存在することが“リアル小京都”って感じがしたなぁ。地元にそういう店舗があるのって嬉しいよね。
(2015年10月、2022年2月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR久大本線 筑後吉井駅より徒歩17分
JR久留米駅・西鉄久留米駅より路線バス「吉井営業所」バス停下車 徒歩4分
〒839-1321 福岡県うきは市吉井町若宮113-1 MAP