住雲園(旧久須美家庭園)Ju-unen Garden, Nagaoka, Niigata

まだある新潟の名庭園!“曾我兄弟”の末裔で江戸時代には佐渡奉行も、近代には越後鉄道の開通に尽力した名家・久須美家の屋敷と庭園。

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住雲園・旧久須美氏庭園について

「住雲園」(じゅううんえん)は新潟県長岡市の北部、“良寛の里”和島地区にある日本庭園。越後鉄道(現・JR越後線)創業者で“曽我兄弟”の末裔・久須美秀三郎、久須美東馬の親子の邸宅に残る名家の庭園で、かつては国から名勝庭園の指定も。

2021年11月の新潟アウェー遠征の際に初めて鑑賞、今回訪れた中では行きたさが上位だった庭園がこちら!その存在を知ったのは結構前で――2017年秋に上野公園でやってた新潟フェアでたまたまこの庭園のパンフレットが置かれれて。2018年、2019年と新潟を訪れた時にも頭にあったんだけど――そのたび頭を悩ませたのが“鉄道でのアクセスの難しさ”。

小島谷駅からは徒歩10分強なので大したことないんだけど、小島谷駅に発着する列車、日中・開園時間中(8時半~17時)は3本。しかもこの駅ですれ違うダイヤだからほぼ確実に3時間は空く…。今回訪れた時には新潟方面から8時10分に小島谷に着いて、9時20分頃に新潟方面へ戻るダイヤがあったので「これしかないかー」と思ってそれで足を運んだんだけど、2022年3月以降はほんとうにほぼ確実に3時間空くダイヤになってしまった。

駅の反対側には江戸時代後期の名僧・良寛の終焉の地や『良寛の里美術館』、古い町並みがあるみたいなので、そこまで満喫すれば丁度3時間ぐらいになるかな?(本当はそっちも見たかった…)あとは本数少ないながらも長岡市街地を結ぶ路線バスもあるので、そこも組合せて。

駅から1km程離れた田園地帯の中にある、ひときわ大きなお屋敷と庭園が住雲園。久須美家は“曽我兄弟”が父の仇討ちをする源平時代の有名な物語『曽我物語』の主人公・兄の曽我十郎祐成を祖とする武家。曽我十郎は仇討ちの場で亡くなりますが、その仇討ちに先立って懐妊中だった妻を越後国で禅僧となっていた弟に預け、やがてその子孫が当地の有力者に。

江戸時代の初期、14代目・久須美政幸の代に小島谷の現在地に屋敷をかまえると、高田城主・稲葉家の下で代官・勘定奉行・佐渡奉行などを務め藩政に貢献。また22代目・久須美祐福/23代目・久須美祐之/24代目・久須美祐良の代には有栖川宮家にも仕え、江戸や京都の宮中との繋がりも構築。また亀田鵬斎市河寛斎、柏如亭、大窪詩仏ら文人墨客も招き、庭園“住雲園”の名は大窪詩仏の命名。

27代目・久須美秀三郎祐啓の代で明治維新を迎えると、当地の有力者として越後鉄道のほか信越本線の創設や銀行・石油・水力・電気・新聞など各種インフラの経営/開発に尽力。山縣有朋勝海舟渋沢栄一らとも縁深く、中でも大隈重信との関係(やりとり)については庭園の築山の上に碑文が残されています。秀三郎の子・久須美東馬祐徳も引き続き越後線、白新線・弥彦線などの開通や『弥彦公園』の開園に尽力しました。

その後この屋敷・庭園は久須美東馬から大阪の池田家に渡りますが、昭和中期に池田家から長岡市へと寄贈。合併前の“和島村”の所有になった時期もありましたが、和島村と長岡市が合併して現在は再び長岡市の管理・所有となっています。

現在見られる、遠く弥彦山を借景にのぞむ池泉回遊式庭園が築造されたのは1717年(享保2年)で、江戸と行き来していた16代目・久須美六郎左衛門政信が地元に戻った際に作庭されたもの。

その後の改修は幾らかあるにしても、“近代の新潟の豪農の庭園”ではなく“江戸時代の武家庭園”という珍しく、また貴重なケース!で、1934年(昭和9年)の文部省の調査で「名勝庭園の指定を受けた」のだそう。
といっても現在は長岡市や新潟県の文化財にもなっていないのだけれど――その昭和9年当時に記された《丘陵あり、治水あり、瀑布あり、布石あり、老松おうて雲をしのぎ、(略)梅桜、かえでの配景あり、近景賞すべく、遠景また結構。》の姿は令和の現代までそのまま残されている。

で、屋敷の前の池泉庭園はあくまで全体の一部。大正時代に書かれた『庭園概略図』を見ると、屋敷から見て左手にある築山の上にはさらなる回遊路や、裏側に園遊会のための広場があった。築山の回遊路は今はかなり鬱蒼としていて“自然の山”って感じではあるけど、広場の草が生い茂った中には“流れ”の遺構が残っていて――他の新潟の豪農の庭園に負けないスケールの庭園だったのだろうな~と。

現在、所有は長岡市だけど、行政主導ではなく地元の有志による「越後鉄道の歴史を考え住雲園を守る会」により維持管理されています。だからなのか、パンフレットが非常に情報が多くて親切。

また訪れた日もちょうど地元の方々で雪囲いがはじまっていて――。地域の方が主体的に関わることで、他人事ではなく“地域の宝”が良い状態で保たれる一方で、地方にとっては「その地域の方々の高齢化」が大きな課題(70代を軽く越えられている方々が高木のお手入れをしている状況)。『』には含まれない庭園だけど、知ってほしい庭園!

(2021年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR越後線 小島谷駅より徒歩15分
*日中の列車本数少ない。路線バスも組合せて。

〒949-4511 新潟県長岡市小島谷2156-1 MAP

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