城南宮神苑“楽水苑”Jonangu Shrine Garden, Kyoto

足立美術館庭園の作者・中根金作の京都市で最も大きな庭園は“鳥羽離宮”の跡に作庭された“源氏物語花の庭”。

庭園ギャラリーGarden Photo Gallery

城南宮 神苑“楽水苑”について

「城南宮」(じょうなんぐう)は京都市の南部、平安時代に造営され院政の舞台にもなった“鳥羽離宮”(城南離宮)の一部でもあった神社。
『足立美術館庭園』が有名な作庭家・中根金作の手掛けた京都市内では最も大きな庭園“楽水苑”があります。『源氏物語』に登場する草花80種類以上が用いられた、通称“源氏物語 花の庭”。

2021年3月に3年半ぶりに訪れました。お目当てはやっぱり落椿と枝垂れ梅!2月下旬~3月上旬には約150本のしだれ梅が咲きほこる、京都の梅の名所として知られます。

平安時代のはじめ、平安京遷都に際し創建されたと伝わる城南宮。平安時代後半、城南宮を取り囲むように壮大な『鳥羽離宮』が造営され、白河上皇鳥羽上皇による院政の場として京の政治・文化の中心になった時代も。

その後平家・源氏・北条・足利…と権力が移ろう中で、南北朝時代に鳥羽離宮は荒廃・焼失。城南宮は江戸時代に再建。現存する建物は現代のものですが、東西の石鳥居は江戸時代末期に建立されたものが残り、それぞれ有栖川宮幟仁親王および関白・九条尚忠による“城南離宮”の扁額が掲げられています。
江戸時代から明治時代へと移り変わる中で勃発した『鳥羽・伏見の戦い』は城南宮に陣をかまえた新政府軍・薩摩藩の発砲から開戦されました。

そして庭園について。昭和~平成初期の現代を代表する作庭家・中根金作ですが、元々は京都府技師として古庭園(文化財庭園)の修復を主としており、この城南宮“楽水苑”が38歳当時の氏にとって初の本格的な庭園作品となりました。

予算の都合で1954年~1960年(昭和29年~35年)と6年かけて作庭されたのが庭園の後半部分の“室町の庭”と“桃山の庭”。その後、現在の順路序盤“春の山”“平安の庭”、そして“城南離宮の庭”と異なるタイプの5つの庭園を楽しむことができます。

■春の山(3~8枚目)
椿としだれ梅を皮切りに、ミツバツツジなど春の花木による最初の庭園。ゆるい築山は『鳥羽離宮』時代の数少ない遺構とも言われ、この山と対になっている“秋の山”が城南宮の西にある『鳥羽離宮公園』内にも。

■平安の庭(9~16枚目)
社殿東部に位置する池泉回遊式庭園。“神楽殿”を平安時代に貴族が暮らした邸宅に見立て、当時の建築様式“寝殿造”に付随していた庭園がそのモチーフ。

中の島を置いた池泉からはじまる曲水の流れは神苑南部の“室町の庭”へと続きます。平安の庭は一面の苔も美しく、春と秋に行われる「曲水の宴」はこの平安の庭が舞台となっています。

■室町の庭・桃山の庭(17~24枚目)
参道を隔てて室町の庭・桃山の庭へ。園路から左手、一面の芝生の中に巨石とソテツ、五葉松などが配されているのが“桃山の庭”。

そして園路の右手、数多くのマツや石組、中央の滝や秋の紅葉…など見所がいっぱいの“室町の庭”。割と大雑把に(余白をもって)仕上げた“桃山の庭”との対比そのものが中根金作の初めての作品の中での提案だったんだろう。両庭園が眺められるお茶席“楽水軒”も。

■城南離宮の庭(25~27枚目)
そして最後の“城南離宮の庭”は、枯山水庭園ではあるけれど、平安時代後期に流行した“浄土式庭園”をモチーフとした庭園で、その白砂によって鴨川や離宮の池が表現されています。華やかさをシンプル、ソリッドに伝えるお庭。

まさに“京都の春を告げる庭園”である楽水苑ですが、園内は四季の花々を楽しむことができます。これからの新緑の季節や紅葉にも!

(2017年8月、2021年3月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

近鉄京都線・市営地下鉄 竹田駅より徒歩15分
最寄りバス停は「城南宮」「城南宮前」バス停 徒歩5分(※京都駅・二条駅方面へ路線バスあり)

〒612-8459 京都府京都市伏見区中島鳥羽離宮町7 MAP

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