
四季の草花が見どころの2つの庭園、苔むした姿が美しい池泉鑑賞式庭園“契心園”と、回遊式の“旧理覚院庭園”。
実光院庭園について
「実光院」(じっこういん)は最澄の高弟・円仁(慈覚大師)により開かれた『勝林院』に隣接する塔頭寺院で、正式名称は『魚山 大原寺 実光院』。江戸時代後期に作庭された池泉鑑賞式庭園“契心園”(旧普賢院庭園)と、回遊式の“旧理覚院庭園”と2種類の庭園が楽しめます。
2019年8月、初めて大原の寺院庭園を巡りました。実光院さんはSNSだけは前からフォローしていたので訪れたい、訪れたい…と思っていた場所でした。
室町時代の応永年間(1394年〜1428年)頃に復興して以降、元は現在地の向かい側に所在していたそうですが、明治時代以降無住となった「理覚院」「普賢院」と統合する形で現在地に移転。現在の客殿はその翌々年、1921年(大正10年)に建築されたもの。欄間に飾られている『三十六詩仙』の絵は、江戸時代に狩野派の絵師が描いたもの。
客殿からの座観式庭園“契心園”は元は普賢院の庭園として江戸時代後期に作庭されたもの。石垣や築山が苔むしていてとても緑の映える美しい庭園で――心字池の中、亀島が浮かぶ隣の苔むした?もこっとした中島がかわいい。あと奥の滝口の上にちょこんとある石鳥居も!また客殿周辺にはシャクナゲが多く植わっていて、春には色とりどりのシャクナゲが花を咲かせるそう。
そして様々な季節の草花が見られる回遊式庭園が“旧理覚院庭園”。実光院がこの地に統合移転した際には荒廃していたものの、それ以降のご住職により整備・作庭されたのが現在の庭園。中でも秋から春にかけて花を咲かせる不断桜が有名で、実光院のSNSではたびたび登場。
茶室“理覚庵”は実光院の寺領の山林から切り出した資材によって昭和の後期に建てられたもの。網代天井も見られる茶室、一体どの方が手掛けられたのか気になる…。茶室へ至る(明るい)露地庭も見所の一つ。
様々なタイプの庭園が見られる実光院、自分が訪れた時は比較的拝観客がいらっしゃらなかったのも、落ち着いて庭を眺められてとても良かった。また春・秋にも足を運びたい!
(2019年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)