古知谷 阿弥陀寺

Kochidani Amidaji Temple Garden, Kyoto

京都・大原の隠れた紅葉の名所は別天地の様なロケーションも絶景…天然記念物指定の京都屈指の紅葉の古木“古知谷のカエデ”を借景とする現代の枯山水庭園。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

古知谷 阿弥陀寺について

【冬季は拝観休止】
「古知谷 阿弥陀寺」(こちだに あみだじ)は京都の奥座敷・大原の北に位置する古知谷の山間部に位置する浄土宗知恩院派の寺院。参道には樹齢800年以上とも言われる楓が残り、『古知谷のカエデ』が京都市指定天然記念物にもなっている紅葉の名所。現代に作庭された枯山水庭園もあります。

京都・大原の里の中心部(大原バス停〜三千院)からは若干距離もあり(約3km)、2019年に初めて大原を訪れた時には行き逃していた寺院。2022年秋に初めて訪れました!自然の紅葉も良かったけれど、まさに別天地のようなそのロケーションが凄かった……。

その歴史について。江戸時代初期の1609年(慶長14年)に諸国行脚の末に古知谷に辿り着いた弾誓上人が最後の修行の場/念仏道場として創建。正式名称は「光明山 法国院 阿弥陀寺」。
有名な“ミイラ仏”は弾誓上人が亡くなる前に弟子に巌窟・石棺を掘らせ、生きながらその中に入り、そのまま即身仏になったと伝えられることから(非公開)。御本尊も弾誓上人が自ら彫刻し頭髪を植えた自身の像(弾誓仏)。そのほか阿弥陀堂に安置されている阿弥陀如来坐像が鎌倉時代の作で国指定重要文化財。

また江戸時代には皇室の閑院宮家/有栖宮家の祈願所にもなり、両家の位牌や妙勝定院(閑院宮美仁親王の子で有栖川宮韶仁親王の妃・宣子女王)の御姿を安置。両家から下賜された品々などが宝物館に展示されています。

そんな歴史もいいけど素晴らしいのはそのお寺の雰囲気。中国風の山門をくぐってから拝観受付にたどり着くまでも林の中を徒歩10分ほどの上り坂。少しクタクタになる頃に周囲が開けると、立派な石段・苔むした石垣・そして自然の滝・石段の上の懸造の建築が現れる。すごい…。

その参道に植った京都市天然記念物の“古知谷のカエデ”は樹齢800年以上と言われ、大原の中でも随一の紅葉の名所として江戸時代から知られていたとか。

庭園はざっくり分けて以下の5つ。いずれも現在の若いご住職が自らが主体となって現代に作庭/整備されたものだそう。でも歴史的な空間に溶け込んでいる。

■受付横の枯山水庭園。苔の築山が印象的。“古知谷のカエデ”の背景が絶品!
■本堂前の枯山水庭園。こちらもカエデを背景にしながら、古知谷の山を借景としたスケールの大きな枯山水。その傍らに懸造で建つ茶室“瑞雲閣”があります。角度からの大原方面の山々の風景が絶景。
■宝物館前の坪庭(池泉庭園)
■客殿から眺める中庭。苔の中に植った山野草が主役で、その雰囲気が安らぎの空間という雰囲気で◎
■光明殿の前の立石のある庭。苔むした石段の先には非公開の石窟が…

一つ一つは大きなお庭ではないかもしれないけれど、“古知谷のカエデ”の風景が最大限に活かされ、そして境内全体がまとう別天地のようなロケーションが素晴らしく全体が一つの庭園空間のような感じ…。

決してアクセスが良い寺院ではないけれどオススメしたい寺院。車の人もお堂から近くの駐車場ではなく山門前の駐車場に止めて、その参道を歩いて厳かさを体感して欲しい空間!

(2022年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

京都市内(国際会館駅)より路線バス「古知谷」バス停下車 徒歩15分
京都市内より路線バス「大原」バス停より徒歩約40分

〒601-1235 京都府京都市左京区大原古知平町83 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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