JR御厨駅すぐ近くの観光スポット。小堀遠州作庭とも伝わる江戸初期の枯山水庭園と、参道の苔が美しい古寺。
医王寺庭園について
【事前に電話での確認推奨】
「鎌田山 医王寺」(いおうじ)は奈良時代に聖武天皇の勅命で行基菩薩によって開かれたと伝わる古寺。その枯山水庭園は江戸時代初期に小堀遠州、または京都の国指定名勝庭園『智積院庭園』を手掛けた運敞僧正による作庭と伝わります。“医王寺庭園及び参道”として磐田市指定名勝。
Jリーグ・ジュビロ磐田の本拠地“ヤマハスタジアム”の最寄駅になったJR御厨駅からすぐ近く。
これまでも何度か訪れていますが、2020年12月に再訪。今では工業都市の磐田市(静岡県西部)においては想像しづらいですが、現在の医王寺を含む「金剛院」は平安時代には嵯峨天皇が厚く帰依され境内には五重塔や仁王門、36もの末寺が建立された大寺院でした。
戦国時代に武田信玄に攻められ境内を焼失しますが、元々遠江を治めていた徳川家康が江戸幕府を開くと、その援助もあり徐々に復興。現在残る建造物のうち山門、客殿、庫裏、大師堂など江戸時代中期〜後期に建てられたものが現在も(保存修復を経ながら)残っています。明治時代に廃仏毀釈が起こり、36あった寺院も医王寺を残して全て廃寺に——境内のすぐ北を東海道新幹線が貫いていますが、その辺もかつての境内だったんだろうな。
客殿から西側・南側を眺める形で、江戸時代初期の1620年(元和6年)頃に作庭された枯山水庭園が広がります。手掛けたのは医王寺に旅日記を残した小堀遠州とも、墨跡を残した京都智積院の7世・運敞僧正とも。
サツキ・ツツジの植栽がカクカクに刈り込まれた姿は小堀遠州の手掛けた庭園の作風と比べるとだいぶ独特な感じは受けるけど、たとえばこの庭園でかなり存在感のあるソテツは1626年に小堀遠州が作庭した世界遺産『二条城二の丸庭園』でもアクセントとして配されている(その当時からあるものかはわからないけど)。
一方で、智積院とこの医王寺は石の好みが確かに似ているように感じる。庭石は天竜の青石だけでなく、近畿から紀州の石も用いられているとか。
参道や客殿・庫裏の前の苔もとてもきれいで、庭園とあわせて参道も磐田市の文化財。遠州地方でこれだけまとまったきれいな苔が見られる場所はなかなか無いのでは…。桜なんかも他と比べて早く咲いていたりする花のお寺でもある。そのほか三十六歌仙図などいくつかの磐田市重要文化財を所蔵。Jリーグの試合を見に行くついでに何度も足を運んでいますが、癒やしスポットです。
静岡県西部の小堀遠州の庭園としては、遠州三名園と言われる『龍潭寺庭園』、『長楽寺庭園』、『本興寺庭園』があり、また磐田市の庭園としては“昭和の小堀遠州”とも称された磐田出身の名作庭家・中根金作の作庭による『宝珠寺庭園』があります。併せてチェック!
(2010年6月、2017年3月、6月、2018年5月、2020年12月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR東海道本線 御厨駅より徒歩6分
JR東海道本線 磐田駅より約3km
JR磐田駅より路線バス「鎌田」バス停下車すぐ(本数少ない)
磐田駅より路線バス「東貝塚」バス停下車 徒歩10分
〒438-0038 静岡県磐田市鎌田2065-1 MAP