古くから風待ち港/潮待ち港として、近世には北前船で栄えた港町・光市室積の江戸時代〜明治時代の町家・商家建築。光市を象った庭園も。
光ふるさと郷土館について
「光ふるさと郷土館」(ひかりふるさときょうどかん)は古くから風待ち港/潮待ち港として栄えた港町・山口県光市室積の江戸時代後期〜明治時代の町家・商家建築を活用した郷土資料館。こじんまりながら平成年代に開館した際に整備された庭園があります。
2022年7月、水墨画で有名な室町時代の画僧・雪舟の作庭と伝わる山口県指定文化財の庭園『普賢寺庭園(雪舟庭)』を訪れた際に立ち寄りました。
古くからの天然の良港として、そして江戸時代には長州藩の御米売の拠点として、また北前船の停泊する港として栄えた室積の街並み。現在もその面影を感じるレトロな街並みが残ります(江戸時代〜近代の頃はもっともっと人口が多く、遊郭もあったとか)。
この郷土館は1993年(平成5年)に光市の市制50周年記念/ふるさと創生事業の一つとして整備されたもの。元は江戸時代後期〜昭和年代に掛けて醤油店“磯民”(磯屋)を営んでいた磯部家を修復したもの。
間口が狭く奥行きのあるいわゆる“うなぎの寝床”で、店の間では商家の帳場の再現を、奥の蔵を活用した展示室では北前船で栄えた室積の廻船に関する史料や当地の醤油作り・漁業などの展示が見られます。
庭園はいずれもこじんまりながら幾つかあって…数寄屋風の意匠が印象的な奥座敷の坪庭、その奥座敷に面した白砂の枯山水庭園(光市の地形を模したものだそう)、そして道路に面したソテツと茶砂の庭園。あと樹齢220年の大銀杏のある広場も(ここにはかつて醤油醸造時の作業場があったのかな)。
この中ではソテツのお庭は長州・萩のお庭っぽさというか…そこから派生した防府の『英雲荘』と似た雰囲気がある気がしていて。
ちなみにこの郷土館のお向かいには国登録有形文化財の『礒部本家(旧礒乃屋)』があり、数年前までは郷土館の別館として公開されていたんだそう。現在は老朽化と所有者が変わったことで非公開になっていて、新所有者が保存するのか文化財解除になるのかは不明…とのこと。
文化遺産オンラインの『旧礒乃屋』の写真を見ると庭園の雰囲気は郷土館の庭園の雰囲気に似ていて、樹齢300年の蘇鉄も植わっているそう。郷土館の蘇鉄もルーツは同じなんだろうし、長州藩主・毛利氏が『普賢寺庭園』に植栽した蘇鉄ともども室積の繁栄を物語る“蘇鉄”。その歴史を感じてみて。
(2022年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR山陽本線 光駅より路線バス「室積小学校前」バス停下車 徒歩2分
JR山陽本線 柳井駅より路線バス「室積」バス停下車 徒歩7分
〒743-0007 山口県光市室積5丁目6-5 MAP