東本願寺 白書院庭園

Higashi-Honganji Temple Shoin Garden, Kyoto

“世界最大級の木造建築”の国指定重要文化財・御影堂などがそびえる、京都駅から一番近い大寺院“真宗本廟”。2023年の“京の冬の旅”でしか見られない庭園も。

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東本願寺 白書院庭園について

【白書院・大寝殿は通常非公開】
「東本願寺」(ひがしほんがんじ)は世界遺産・古都京都の玄関口「京都駅」から最も近い大寺院としても有名な寺院。鎌倉時代に創建された「本願寺」(大谷本願寺)をルーツとする浄土真宗・真宗大谷派の本山で、正式名称は「真宗本廟」。東本願寺は通称で、地元の方には「お東さん」の愛称で親しまれています。

“世界最大級の木造建築”と言われる国指定重要文化財「御影堂」などは通年で拝観できますが、2023年の「京の冬の旅」で通常非公開の「大寝殿」「白書院」が特別公開!その白書院の前の庭園などを紹介。

また東本願寺に関連する庭園としては国指定文化財(国指定名勝)の『渉成園』が阿弥陀門・御影堂門から東へ徒歩3〜4分ほどの場所にあり、そちらが東本願寺の飛地境内となっています。

その歴史についてざっくりと。浄土真宗の開祖・親鸞聖人の入滅の後(死後)にその弟子たちにより建立された「大谷廟堂」がそのルーツ。鎌倉時代の末期に三代目の門主となった覚如上人の頃に『本願寺』を名乗るようになりました。戦国時代には大坂の『石山本願寺』織田信長と石山合戦を繰り広げるなど国内の一大勢力に。

その石山合戦での敗戦を経て、織田信長の次に天下人となった豊臣秀吉から京都の堀川・六条〜七条の地を与えられて建立されたのが現在の通称『西本願寺』
秀吉が亡くなり、豊臣家と徳川家との対立が激化するのと同時に本願寺内でも11代目門主・顕如上人とその子・教如上人が対立、関ヶ原の戦い後に実権を握った徳川家康が『西本願寺』の真東の京都の烏丸・六条〜七条の土地を教如上人に寄進して建立されたのが『東本願寺』。西と東に分かれたのはその時代。

そんな経緯もあって東本願寺は徳川家康や以降の徳川家との関係も良好で広大な境内が整えられ、京都を大寺院として現代へ至ります。
ただし建造物そのものは江戸時代に度重なる火災の被害により、そのほとんどは明治時代に再建されて以降のもの。それでも927畳の広さの“世界最大級の木造建築”の御影堂をはじめ、阿弥陀堂、御影堂門(日本最大級の山門)、阿弥陀堂門、鐘楼、手水屋形の6棟が国指定重要文化財。2023年に特別公開された大寝殿、菊の門(伏見城の遺構)、境内を囲む築地塀などが国登録有形文化財。

以下は2023年の「京の冬の旅」で特別公開された建築について。

■大寝殿(6〜8枚目)
幕末の蛤御門の変で焼失した後、1867年(慶応3年)の再建。現在の東本願寺で最も古い建築であり、御影堂ほどじゃなくともこちらもかつては広間・要人との対面所として/現在は儀式に使用されることからとっても広い! 上段の間の背後の障壁画は近代の京都を代表する日本画家・竹内栖鳳による3枚の作品「風竹野雀」「歓喜」「古柳眠鷺」。

■白書院(10〜19枚目)
その大寝殿の奥にある「白書院」、こちらは1911年(明治44年)に大阪の戸田楢七の寄進により再建。
来賓接待などに使用されるこの建物は大寝殿と比較しても豪華な空間になっていて、ほぼ全体が格天井、床の間・違い棚のある“一の間”は折上格天井。そして各部屋には金粉をまぶした煌びやかな障壁画が!

明治時代後期の建築ということで、随所に“近代和風建築”らしい装飾が随所に見られるのもかっこいい。中でも違い棚や書院窓の透かし彫りは、世界遺産『仁和寺』も手掛けた近代京都の宮大工・亀岡末吉の考案したデザインと類似性があるのだとか。

そんな白書院の対面にあるのが能舞台。こちらも近代の京都画壇で活躍した幸野楳嶺による松の図が描かれています。

そんな白書院を中心として庭園が広がります。能舞台の前は能の鑑賞を邪魔しない苔庭が、白書院の北側には白砂による枯山水庭園があります。決して派手な庭園ではないけれど、渡り廊下から御影堂を眺めると京都タワーも一つの景になっているのが◎!
この特別公開をきっかけにぜひチェックしてみて。

(2023年1月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR東海道新幹線・近鉄京都線 京都駅より徒歩5分

〒600-8505 京都府京都市下京区烏丸通七条上ル MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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