数十年後の“東東京の隠れた名園”候補。庭石や滝石組にこだわりを感じる回遊式日本庭園に、庭園を眺めながらの“桜花亭カフェ”も。
花畑公園・花畑記念庭園について
「花畑記念庭園」(はなはたきねんていえん)は昭和年代に開園した足立区立の公園『花畑公園』内にある池泉回遊式の日本庭園。庭園の一角にある『桜花亭』内には喫茶や軽食のある“桜花亭カフェ”、ギャラリー、茶室“不断庵”、和室“普賢象”“滝匂”等があります。
2022年5月に初めて訪れました。埼玉・越谷の日本庭園『花田苑』と同じく東武伊勢崎線が最寄駅のこの庭園、いざ東京に住んでいた頃には縁が無いエリアだった…。
この公園のある足立区花畑一帯はかつては武蔵国足立郡花又村と呼ばれ、緑と水が豊かな農村風景が広がっていたそう。やがて東京府・東京市に編入され足立区が誕生。この公園・庭園は足立区の区制50周年を記念した区画整理によって造園され、1984年(昭和59年)に開園しました。時期も経緯も『花田苑』とそっくり。バブル期には公共の日本庭園ブームがあったのかな…。
公園としての面積は14,000平方メートルもあり、広い芝生の広場が主体の公園東部には遊具やじゃぶじゃぶ池など子供向けのエリアも。そして周囲には約100本の桜の木(ソメイヨシノ)が植栽され、春には足立区のお花見スポット・桜の名所の一つになっているそう。
公園西側、約9,000平方メートルの広さの日本庭園が「花畑記念庭園」。現代の都市公園系日本庭園の中でも珍しいのが、城郭のような石垣・堀を再現していること。この堀も池泉庭園の一部で、なんだか福岡県柳川市の国の文化財庭園『御花(立花氏庭園)』のような構造。
元は平坦な地形だった場所に緩やかな芝山や敷地の北部には築山を築き、その築山を利用した三波石の崩れ石積による三段の滝(大滝)がこの庭園の見所。
たびたび引き合いに出してしまうけど『花田苑』と比べると花畑記念庭園は“石へのこだわり”に重きが置かれたように感じる庭園で、大滝の前の沢飛び石などにも銘石・巨石が使われていて、園内北東部の“待合”からの流れの護岸石組もすごく良い雰囲気。
大滝の向かいにある四阿の周辺からは庭園を270度見渡して楽しむことができます。四阿の対岸の洲浜の姿とかを見ると『京都仙洞御所』のような江戸時代の宮廷庭園や大名庭園をイメージしたのかなと想像できる。雨で見通しが悪かったのは残念だけど庭石は良い色が出てる…。
今回はモミジの新緑がきれいだったけど、これはきっと紅葉の時期はめちゃくちゃ良さそう。この日は雨の影響…だと思うんだけど、前撮りの方以外は誰もおらず。指定管理者に地元の造園会社(松竹園・横田造園)が入られているのもあり、庭園の管理状態もすごく良いのではと思うので…今後50年・100年と地元の方々、そして東京の方々に愛されて欲しい庭園!(この庭園の設計者どなたなんだろうなあ)
(2022年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
東武伊勢崎線 谷塚駅より徒歩20分弱
JR綾瀬駅・東武 竹ノ塚駅より路線バス「花畑四丁目」バス停下車 徒歩4分
つくばエクスプレス 六町駅より路線バス「文教大学」バス停下車 徒歩2分
〒121-0061 東京都足立区花畑4丁目40 MAP