京都の知られざる絶景庭園。室町時代の山城“灰山城”や幻の大寺院“如意寺”と関連する?比叡山を借景とした京都随一の巨石の石庭。
灰山庭園跡(灰山庭園遺跡)について
「灰山庭園跡」(はいやまていえんあと)は京都府と滋賀県の県境にある庭園遺跡。“大文字山”としてよく知られる京都・東山三十六峰のひとつ“如意ヶ嶽”から大津の国宝寺院『園城寺』へ至る山道“如意越”の道すがらに残ります。
京都市の地図をGoogleマップを見ていたら現れた「灰山庭園跡」の文字。なんだこれは――アップされてる画像を見ても確かに庭園っぽいものがある。
去年今年と冬の間は東山を登っていたのですが大津方面までは行ってなかったな〜。3月に如意越を歩いてみてこの庭園にも訪れました!
かつては京都と大津を結ぶ主要な山道の一つだった“如意越”。といっても今歩くとまあまあ狭い箇所や暗い箇所も多い――その中で急にバッと開けた平地にこの石庭が現れます。
滋賀県内の城の歴史と考察を掲載されているブログ『滋賀県の城』によると、現在庭園遺構が残るこの地には室町時代に城砦『灰山城』も築かれたそう。だとするとこの庭園も室町時代やそれ以前のものなのか――『滋賀県の城』では山岳寺院『如意寺』に関連する遺跡と記されています。
アニメ『平家物語』にも登場した僧・俊寛ゆかりの寺院『如意寺』。平安時代〜鎌倉時代に興隆し、如意ヶ嶽山内に多くの堂宇や塔頭を有する巨大な山岳寺院となりましたが、それゆえ度々戦災に遭い、応仁の乱で焼失〜廃寺に。京都東山トレイルの鹿ヶ谷のルートの途中にはその痕跡?の石垣・石段や大変迫力ある“楼門の滝”も。
楼門の滝から灰山庭園跡までは4kmとまあまあ離れているものの、灰山庭園跡もその山岳寺院に関連する遺跡と推測されています。
この枯山水庭園、驚くのがその巨石。京都の鎌倉〜室町期の庭園でこんな巨石を用いた庭園は他に無いし、山の麓ではなく山内から運んだとしてもどうやって動かしたのか…?と思う迫力。手前の横たわった石、真ん中の立石の見せ方とかは時代は全然違うけど昭和の庭園研究家・森蘊さんが“鳥獣戯画”を表現した『和歌山城二の丸庭園』っぽさがある。
そしてその借景には比叡山。現在は大きくなったスギ?ヒノキ?が景色をカットしてしまっているけど、それが無ければ本当に現世から離れた“天空の石庭”だったのでは…。今後もトレイルしながら立ち寄りたい庭園!
(2022年3月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR湖西線 大津京駅・京阪電車 石山坂本線 京阪大津京駅より約4km(徒歩約1時間)
京都側から登る場合は、地下鉄東西線 蹴上駅から7km弱
〒606-8452 京都府京都市左京区粟田口如意ケ嶽町 MAP