玉泉館跡地公園(玉泉園)

Gyokusenkan Ruins Garden, Iwamizawa, Hokkaido

岩見沢随一の料亭旅館に日本三名園“兼六園”の桜や日本三景“天橋立”のマツなど日本各地の銘木を移植し作庭された北海道の貴重な近代日本庭園。

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玉泉館跡地公園(玉泉園)について

【冬季休園】
「玉泉館跡地公園」(ぎょくせんかんあとちこうえん)は北海道岩見沢市にある池泉回遊式の日本庭園。明治時代に開業した旅館『玉泉館』(山鳩の湯亭)の庭園『玉泉園』をルーツとする近代日本庭園で、庭園中央には茶室『玉泉庵』も。現在は岩見沢市の都市公園として市民に親しまれています。

札幌と旭川の間に位置する「空知」エリアの中心地・岩見沢。その玄関口・JR岩見沢駅からは2kmちょっと離れていますが、岩見沢市役所や岩見沢神社から程近くにあるのがこの庭園で、かつて郷土史『岩見澤繁昌記』では《岩見澤を知る者にして玉泉館を知らざるなく玉泉館を知る人にして岩見沢を知らざるはなし》とも評される名所でした。

北海道に残る日本庭園としては比較的古い歴史を持ち、1903年(明治37年)に創業した料亭旅館『山鳩の湯亭』(翌年『玉泉館』に改名)の庭園がその前身。温泉を掘削したのは創業した翌年(明治時代)ですが、冬にも凍結しないこの鉱泉はそれ以前からアイヌの人々により見つけ出されていたとか。(この庭園からはかつて竪穴式住居跡も見つかったそう)

岩見沢随一と言われた温泉旅館となった玉泉館、桜や紅葉の名所として庭園も市民に愛されたものの、昭和時代半ばの1979年に廃業。
以来20年近く放置された末、市民の要望を受けて“昔の姿を復元した日本庭園の公園”として整備され、2001年(平成13年)に開園を果たしました。

元々この地にあった池泉を拡張する形で今日も見られる庭園が作庭されたのは1933年(昭和8年)。広がった池の周囲には全国各地の銘木——金沢『兼六園』の桜と菊、岐阜・養老公園のモミジ、『天橋立』のマツ、『太宰府天満宮』の紅梅、高千穂の神木などを集め移植し『玉泉園』と命名されました。
現在も17,500平方メートルの敷地内には1,800本もの樹木、そのうち桜が120本近く植っており5月上旬には見頃を迎えます。

旅館時代の建築は残されていませんが、心字池の中央に浮かぶ中島には公園開園時に新築された本格的な茶室「玉泉庵」が佇んでおり、市民のお茶会などに用いられています。
そのほか枯山水の石組や八ツ橋など所々「日本庭園らしさ」が再現されている一方で、その池+植栽スケールは雄大な北海道の樹木ならではの雰囲気も。北海道のガーデン旅の際はぜひ立ち寄ってみて。

(2024年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR函館本線 岩見沢駅より約2.5km(徒歩30分強/観光案内所にレンタサイクルあり)
JR岩見沢駅より路線バス「東山通」バス停下車 徒歩3分

〒068-0820 北海道岩見沢市東山3丁目3-1 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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